黒鉄
□おめでとう
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今年も、残り2ヶ月になった。
「お前ら寒くなって来たからと言って弛むんじゃねぇぞ」
普段はだらしない中年男だが殊剣道の事になると厳しい隠居である。 当然、部員達もピシッとなるというものだ。
「良し、以上だ。 帰っていいぞ」
そして、めいめい解散していく中、シドウとヒロトは一緒に帰り仕度をしていた。
「なぁ、クロガネ、後数日だっけ!?」
「何、シドウ」
「そのお前の誕生日だよ」
「そっか」
あ。 まるで忘れていたみたいにヒロトはきょんとなる。「プレゼントは、何が良い!?」
無骨と言っていいシドウが顔を火照らせて言った。
「何でも良いよ、シドウがくれるって言うのなら―――」
ヒロトは、はにかんで見せた。
可愛い―――と、迂闊に見惚れてしまった。 男同士で。 男同士なのに。