黒鉄
□さかさまのくに
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まさかこんなマンガみたいな事になるなんて一体誰が思った事だろう。 シドウが僕で僕がシドウで。
「立てるか、クロガネ」
廊下でシドウとぶつかって、シドウが僕に手を差し伸べてくれた所まではいつもと変わらない状況なのだが、目の前に映っているのはシドウではなく紛れもなく僕だった。
「ありがとう―――って、僕とうして!?」
目を疑いたくなると言うのは、まさにこの事だった。 シドウが尻餅をつく事なんて世界が逆さまになってもありえない訳だし。
「何だ、クロガネ!?」
「何で僕がここに居るの。 て言うか、シドウだよね!?」
僕は、恐る恐るシドウを指差した。