黒鉄
□いつか君と果たす約束
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腕が治ったら、もう一度勝負しよう―――そんな約束をクロガネと交わした。 屋上でクロガネヒロトと決闘をしたのは、ある雨の日の事だった。 あれから 数ヶ月は経った。 シドウは、その後も変わらず素振りだけは続けていた。
「シドウ、無理はしないでね」
もう一度勝負をしたいと申し出たクロガネ本人に心配される様では、まだまだ自分は未熟な証拠だと思う。
「無理じゃない」
だが、シドウも一度言ったら譲らない。
「シドウ、僕はもう 下校するけど、道場の照明はどうする!?」
クロガネが言った。
「あぁ、俺がやっておく」
部員達(と言っても八人だが)は、既に下校しており、残ったのは、シドウとクロガネの二人だけになった。
「シドウ、本当に―――」
シドウを案じるクロガネ。 シドウに無理はして欲しくなかった。
「判ってる」
だが、一瞬で、シドウの士気が気まずい空気を断ち切った。
「じゃあね、シドウ」
言って、クロガネは道場を後にする。
「あぁ」