黒鉄

□花見においでよ
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「俺はいい」
 即答だった。
「シドウも来ればいいのに」
「俺、そう言うの苦手なんだよ」
「そんな事言わないでおいでよ、シドウ君」
 つばめの得意な勧誘すら動じないシドウ。 シドウがお祭り騒ぎ的な事が苦手なのは、皆も知る所なのだが。
「俺は断然行く! でもって、つばめさんと―――」
 対するアオハルは、超の付く程ノリ気でその場を取り仕切った。
「なお、行きたくねぇ」
 シドウは、はぁーと大きな溜め息をこぼした。
「なぁ、クロガネ。 この宴会部長を何とかしてくれないか」
「……シドウ―――」
 ヒロトは、しゅんと俯いた。
「なッ、テンメェ! 誰が宴会部長だ!! おい、ヒロト、もうこんな奴ほっておこうぜ」
「判った。 それじゃあ、今度の日曜日に待っているね」
 ヒロトは、ひらひらとシドウに手を振った。 きっとだよ―――と。
「……」
 シドウは、ムスッと黙ったまま、何も言わなかった。
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