黒鉄

□君だったんだ
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 ヒーローに憧れた。
 僕は、視力がずば抜けて良いという事を除けば運動はからきし。そんな僕に契機をくれたのが『剣道』だった。そして僕が本格的に剣道を始めて出会ったのが 葉桜士道―――シドウだった。シドウは、中学時代から都大会一位の記録を持っている、僕とは真逆のタイプだ。そして何より剣道が好きだ。そして何より『剣士』としてのプライドが高い。
「96、97、98…100。頂上まであと少し」
 僕は、神社の階段を登りながら顔を上げる。そして、士道の背中を見た。
 いつかきっと―――僕が一人前の剣士になった日、再び剣を交えようと約束した。士道は、僕を待っていてくれる。だから僕は頑張らなければならない―――。
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