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□一曲(ひとくねり)
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屋敷に到着するや否や、車から飛び降りたベルフェゴールが建物の中へ消えて行く。その後ろをマーモンがふわりふわりと付いて行くいつもの光景。
違うのは終了した任務の内容に剣が必要なかったという事。
ファミリー主催のパーティにXANXUSの代理として顔を出す。重要な役割だと頭ではわかっていても堅苦しい場所はどうにも慣れない。
必要以上に気力を使い果たしたスクアーロが二人より遅れて談話室へ戻ってみれば、散々飲み食いしたはずのベルフェゴールとマーモンがサンドイッチを頬張っていた。


「お前らまだ食うのかぁ」
「王子成長期だし」
「僕はルッスーリアが作ったのが食べたかっただけさ」
「まぁ!マモちゃんったら嬉しい事言ってくれるじゃないの!レモネード、サービスしちゃおうかしら」
「あールッスー、俺にも牛乳〜」


部屋を見渡せば革張りの数人がけのソファから足だけがはみ出している。
XANXUSがこのやかましさの中で眠っている訳がない。
ソファに近付き覗き込むと、案の定XANXUSはじろり、とスクアーロを睨み付けた。




「今帰ったぜぇ」




特に報告する事例もない。
そのまま立ち去ろうと翻した銀髪が、無造作に伸ばされた手によって捕獲された。


「いでででで…っ!」
「おい、ドカス」
「ゔお゙ぉい!引っ張んな!」
「てめぇ今日のパーティで随分と腑抜けたツラ晒して来たそうじゃねぇか」
「あ゙ぁ?何の話だ」
「とぼけんじゃねぇ」


掴まれた髪を引っ張られればその方向へ行くしかない。
ソファの背もたれに腹をぶつけ、前のめりになりながらもスクアーロは必死に考えた。
そもそもつい数時間前の事を、ここで惰眠を貪っていたはずのXANXUSが何故口にするのかを。


「このむさ苦しい髪は女を引っ掛ける餌くらいの価値はあるのか」
「女ぁ!?さっきから訳のわかんねぇ事ばっかり言いやがって…大体そんなガセどっから聞いた!」




あの会場にスパイでも送り込んでいたのかといぶかしむスクアーロの脳裏に突如浮かんだ、金さえ積めば何でも引き受ける強欲の塊。




「マーモン!てめぇか!」
「僕はバルコニーにいたから知らないよ」
「じゃあ誰だ…ベル…だからクソボス!痛ぇって言ってんだろーがぁ!」
「しししっ」
「はい、マモちゃんお待たせ。ベルちゃん曰く“すげー金髪に髪を触られてまんざらでもない顔してた”ですってよ。スク、心当たりは?」


レモネードと牛乳を手に、戻って来たルッスーリアが代弁する。




「すげー金髪?誰だそりゃ」
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