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□Felicitas
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酒を口にする者には二通りの種類がいる。
酒を飲む者と、酒に飲まれる者。
XANXUSは前者。本人にしかわからない変化はあるのかもしれないが、傍目にはその違いに気付く者などいない。
スクアーロもまた前者…だと思われていた。




 *・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*




「違うんですか〜?」


フランの何気ない質問に、ベルフェゴールはナイフをいじりながらうーん、と唸った。


「弱くはねーけど、潰れる前に飲むのやめちまうんだよな、自発的に。ってか、何でそんな事知りてーんだよ」
「ミーは新入りですから、もっと自分の上司の事を知っておかないとー」
「そう言えば聞こえはいいけど、てめーは自分に有利になる弱みを握りてぇだけだろーが」
「あーあ、センパイはほんっと性格が歪んでますねー」
「お前が言う…なっ!」


グサッと音を立て、ナイフが定位置へと突き刺さる。


「限界まで飲ませてみればいいんじゃなぁい?もうすぐスクの誕生日だしご馳走沢山用意しちゃうわよ」
「おぉー、ご馳走ー」
「ししっ、いい考えじゃん」
「駄目だ」


盛り上がった空気を一変させる怒りの波動に全員が振り向くと、腕組をした渋面のXANXUSが立っていた。


「あのカスに酒を飲ませるんじゃねぇ」
「どうしてですかー?」
「ボスもしかして、ロン毛隊長が酔うとどうなるか知ってたり?」
「…あぁ」
「マジで!どうなっちゃうワケ?」
「カスが酔うと…」




言い淀んだXANXUSに、そこにいた全員の視線が刺さる。




「レヴィ以上にうぜぇ」
「ゲロッ…」
「だからいいか、絶対に飲ませるな」


ぎろりと全員を睨み、何度も念を押してから部屋を出て行く後ろ姿はわざわざそれを言いに来たのかと思わせる程に切実さを物語っている。
何か被害をこうむった事があるからこその忠告は重い。
重い分だけ興味も質量を増す。
けれど自分達の頂点に君臨する絶対的支配者に飲ませるなと言われてしまえば、逆らう事など出来なかった。
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