君と私

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やがて、サトシは口を開いた。





「お互いシンオウリーグで優勝したい。その目標は同じだ。
いつか、チャンピオンのシロナさんに勝ちたいと思うのも同じだ。」

「…だったら?」

「シロナさんとバトルした後、お前俺に言ったよな。
お前はお前で好きにやれ。自分は自分のやり方でやるって。」

「そんなことも言ったな。」

「あれから、俺はずっと、強くなるってどういうことか考えてきた。
俺は仲間達の力を信じる。俺はこいつ等が大好きだから!」




サトシのポケモンが嬉しそうな声を上げる。





「だから俺は俺の信じるやり方でポケモンたちと強くなる。
お前とは、目指すものは同じでも全てが一緒というわけじゃない!」

「何を熱くなって。」

「(シンジが笑った…明日は雪か…いや槍か?)」

「何?」

「ま、待て、サトシ。」




タケシがサトシを止めた。





「シンジには、シロナさんの言葉は響かなかったのか?」






皆の記憶に同じものが映った。

多くのポケモンたちと出会い、深く通じ合う内に、
何か新しいものが生まれてくることに気づいたのよ。
人とポケモンとの出会いも人と人の出会いも同じ。今日のこの出会いは
きっと私たちの心に新たなものを生み出すわ。







「俺には関係ない。」

「妾も同じだ。」

「「「えっ…?」」」





三人は驚いているようだ。

ヒコザルもまた同じようだった。





「時間を無駄にした。戻れエレブー。」





シンジはエレブーをボールに戻した。

サトシ達のいない後ろを向いて去っていこうとした。





「待てよシンジ!俺たちとバトルだ!どんなに強くなったか見せてやる!」





それに構わず歩き続ける。

途端、ヒコザルが何かを叫んだ。

シンジもそれには振り向いた。

ヒコザルの言いたいことが分かったようだ。

ルカは代弁するまでもないと一歩下がった。




「いいだろう。三対三だ。」

「わかった。サンキュー、ヒコザル。皆!やるぞ!」

「気を抜くなよ。」

「サトシ、頑張ってね!」

「あぁ!オレ達は負けない。必ず勝つ。」





シンジは荷物を下ろした。

ルカはシンジの右の一歩後ろに立っている。





「先攻後攻のコイントスよ。表か裏か、当たった方が先攻ね。」

「シンジ、どっちを選ぶ?」

「裏。」

「じゃあ、表だ!」

「それじゃ、コイントス!」




ポケッチの画面に出たのは。





「表!サトシが先攻よ!」

「よっしゃ!一番手は誰で行こうか?」





グライガーが自分だと主張した。





「お、大アピールだな。」

「グライガーホントにバトルやりたいのね。」

「よし!お前のやる気買った!これがお前のデビュー戦だ!」




サトシはシンジの方を向いた。





「俺の一番手はグライガーだ!」





その言葉にシンジは不気味に笑みを浮かべた。





「ヌルい奴らだ。グライオン、バトルスタンバイ!」
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