君と私

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「これが妥当だろう。シンジも良くやったほうだ。」





周りが笑う。

ルカの目が変わった。





「笑うな。挑戦するほどの勇気もない弱者が。」

「別にいい。」

「しかし…。」

「相手にするな。」

「了解、した。」

「シンジ、後一歩だったのにな。」

「鍛えなおして、また挑戦します。」

「楽しみにしているわ。でも、その子と戦った方が速い様な気がするけど。」

「妾は別にいい。」

「お前なんて口の聞き方してんだよ!」

「では哀れなお前たちに告げる。妾はジョウト地方のチャンピオンだ。
それも知らずにその口の聞き方とはな。哀れで愚かだ。」





周りが騒ぐ。

それもそうだ。

この場に二人もチャンピオンがいるのだから。




「そこまでにしておけ。人間嫌いは克服しろ。」

「む。必要ない。人間は好まん。」

「では、これで。行くぞ。」

「妾は絶対に人間など好きになるものか。大体妾はお前たちだけで十分だ。
シンジ、聞いているのか?妾は妾と妾のポケモンを思って言っているのだ。」

「うるさい。」




シンジは歩き出す。




「お、おい。ポケモンセンターはそっちじゃないぞ。」

「待ちなさい、シンジ君。」




シンジは止まった。

ルカもつられるように止まった。





「バトルを終えたポケモンをポケモンセンターへ連れて行くのはトレーナーの義務よ。」

「はい。」




そしてポケモンセンター。

そこでトラブルが起きた。





「それがたった今、急患のポケモンが運ばれてきてすぐに
オペをしなきゃならないんです。本当にすみません。」

「それじゃあ仕方ないか。」




ジョーイさんは走っていった。




「手当ては私がやるわ。」

「なっ。」

「シロナさんが?」

「はーいはいはーい!じゃあ自分がお手伝いしまーす!」





そして、診察。




「治療なら、妾も出来るがこやつとはやりとうない。」

「シンジ君、治療は終わったわよ。」




ルカは逃げるようにシンジに隠れた。





「ありがとうございます。」

「それにしても、あなたのポケモンたちはよく鍛えられてるわね。
特にドダイドスはかなりのものだわ。」

「俺が最初に貰ったポケモンです。」

「そうだったの!」

「ナエトルから育てたのか?」

「あぁ。それからホウエン、ジョウト、カントーのリーグをまわりましたが
優勝はまだです。マニューラとヤミカラスはその旅の途中でゲットしました。」

「ヒコザルは?」

「シンオウに戻ってからだ。」

「シンオウに戻ってから?それはすごいわ。」

「でも、ガブリアスだけでも倒すという目標は達成できませんでした。」

「お前もしかして、ギガインパクトが来るまで何体倒れてもいいと思ってたのか?」

「そうだ。」

「じゃあポケモンたちの気持ちはどうなるんだよ!そんな勝ち方をしたって
それはお前だけの勝ちじゃないか!」

「どんな形でも勝ちは勝ちだ。」

「違う!ポケモンたちと頑張って勝つのが本当の勝利だ!
何でポケモンたちを大事にしないんだ!」

「甘やかすことになる。」




ルカは過去を思い出していった。

傷つけられたポケモンたち。

人間がそのポケモンたちを嘲笑い、こけにした光景。

幼い少女だったルカには耐え難い現実だった。




「あのヒコザルだってもっと強くなれるはずなのにまだ力を出し切れていない。」

「力を引き出したいんならヒコザルを信じろよ。そうすれば応えてくれる。」

「ヌルイな。」

「何?ポケモンバトルで必要なのはポケモンとの絆だ!
それがなくて強くなれるもんか!」

「お前はお前で好きにやれ。俺は俺のやりかたで強くなる。」

「強くなる、か。」




シロナがいきなり口を開いた。




「二人とも、ちょっと付き合ってくれない?」

「え?」
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