君と私

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「痛ってーー!」

「…っ!」




ルカは軽くごついたのだが二人には強かったようだ




「全く、場所を考えろ。シンジ、妾はいつでも構わない。いや、良くない」

「は?」

「ボールをどこかに落としたらしい。見当が付かない」

「……(昔からだったな…)」

「ボール落としたって…!探しに行かないのか!?」

「どこの地方で落としたのかもわからん」

「本当に落としたのか?」

「…自信は無い。カントーに行ったときにはすでに無かった。
こちらに落とした可能性も高いのだが、どこにあるか知らないか?」

「ハァ。」




シンジは場所が分かっていたらしく、ため息を吐いた

ルカの腕を引き耳元に口を寄せて呟く




「トバリに行け。合流はクロガネだ。早くしろ」

「トバリか…。了解した。では行ってくる」





シンジは困っていた

昔から彼女はこうなのだ

しっかりしていて頭もいいのにどこか抜けている

彼女はリザードンに跨り、シンジを横目で見る

シンジは黙って頷き、クロガネへと向かった

彼女はあっというまに空に飛び上がっており、気づいた時にはもう見えなかった





「ねえ!!」

「……。」

「ルカとどういう関係なの?」

「…昔馴染みだ」

「いいなぁ。だってバトルも強いし、コンテストだってすごい強いもの」




シンジは無意識に振り返ってヒカリを見た





「なんですごいんだ?確かにリザードン、かなり強そうだったけど」

「知らないの?シンオウ以外のバッジは全てもう持ってて、
リーグも全部優勝、さらに各地方のチャンピオンにまで勝ってるの!
コンテストだってシンオウではコンテストの方からの頼みで違うポケモンを
使ったから準優勝になったけど後は優勝してるの。
ホウエンっていう地方は挑戦してないから記録は無いんだけど…。
しかもね!五年前から一人で旅してるんだって!家はどうしたのかしら?」




ヒカリの熱弁に少し気圧されながら、全て頭に入れる

自分よりも上、という言葉がグルグルと頭の中で駆け回る






「……」

「……詳しいな」

「だってファンなんだもの!これぐらい当然よ!」

「(そういえば俺も旅の途中で聞いたなー。ハルカも言ってたよーな?)」

「(…あれは人違いじゃなかったのか)」





それぞれ少しは話は聞いていた

それほど有名だった

まさか、あの少女だとは思わなかったが





「おっかけやってる人なんて百人以上!女子もいるけど男子が多いかな?」





ビキリとどこかから音がした

シンジの額にうっすら血管が見える

後ろには阿修羅が…




「「(怖っ!!)」」

「……」





シンジは無言で去って行った

恐ろしくて声もかけられなかった





「今、どこにいるのかしら!ルカは!」

「さ、さぁ!?」





怖さを拭うように、明るく言ってみるが効果はいまひとつのようだった
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