短編★

□殺意
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私は現在、ありえない人を見ている。




あー幻覚かな?





「幻覚じゃねぇよ。」





「あれ?口に出してた?」




「思いっきりな。」




「ごめんごめん。だってさ、晋助と病院があまりにもミスマッチで。」




「斬り殺されてぇのか?」




「まっさかぁ。」




「お前も馬鹿な奴だ。」




「何が?」




「俺といりゃこんな怪我しなかっただろうによ。」




「ほっとけ。」




「他人助けて自分は重症って、笑い事じゃねぇな。」




「その割にはなーんか、楽しそうだね。」




「そうか?」




「面白がっているようにも見えるよ。ドSが。」





「最高のほめ言葉だな。」




「それで、何しに来た?また、勧誘?」




「いや、お前のアホ面見にきただけだ。」




「嫌味?からかってる?それとも無自覚?……はありえないか。」





「どれだろうな。」




「(回復したらぶっ殺して真選組に送りつけようかな?)」





「そりゃ無理だな。」




「またか。はぁ。」




「お前は俺を殺すことなんざできねぇ。」




「あ、決め付けた。」




「俺もお前は殺せねぇ。」



「?」




「俺の女になるまでな。」




「・・・は?(こいつ、今なんて言った?)」




「俺の女になれ。ルカ。お前は俺から逃げることなんざできねぇ。」




「(決め付けた上に告ったーーー!!)」





「返事、聞かせろ。」




「え、今!?」



「あたりめぇだろうが。この俺が告ってやってんだ。
 断るわけねぇよな?」




「え、嫌だ。」




「あ?」




「告白じゃないよ!?今言うってことの方で……。あ……。
 しまったーーー!!」




「クククッ。」




「(そうだった。こいつは、無駄に鋭かった。桂あたりなら、こっち方面は鈍い。
 けど、こいつは、こいつだけはーーーー!!!)」




「本当にお前は飽きねぇよ。」




「それ、遠回しに馬鹿って言ってない?」




「さあな。」



「(絶対そうだ。こいつ、絶対馬鹿って言った。)」




「言ってねぇよ。」



「ギャー!また声に出したのか!」




「出してねぇ。顔見りゃわかる。」




「(ポーカーフェイス、神威に教えてもらおうかな?)」




「他の野郎のとこなんか、行かせるかよ。」




「は?」




「今のは声に出してたぜ?」




「(案外私は忙しいのかもしれない。てか、言っていいところと言わなくていいところ逆!?)」




「怪我、治ったらまた来る。心配すんなや。絶対ぇもう離しゃしねぇよ。」




「その時点で未来が心配だっつーの!」




「そうか。お前はそんなにMだったのか。」




「んな訳あるか!てか、どこをどう取ったらそうなるの!?
 逆に教えてほしいわ!?」




「馬鹿を自覚したところ。」




「いつ自覚したよ!?ねぇ本気で帰ってくんない?なんか、疲れた。」




「慰めてやろうか?」




「ヤダ。眠い……。はぁ。(地雷踏んだ。)」




「ほぉ。お前が寝るまでずっといてやる。」




「(うわーん。無防備さらした上に、帰ってくれないよー。)」




「ほら、寝ろ。」



「む、子供扱いしないでほしいかも。」




「風邪ひくからちゃんと布団かぶるんだぞ。」





「とことん子ども扱いだな!」




「クククッ。」




「もう寝る!」



「あぁ。じゃあな。

         」




「///(こいつ!)」


 ガラガラ    ガチャン




「(まずは、この性格を直さないと。体がもたない。……ずるいよ。いつもいつも。)」






『愛してる。』
いつもはしない優しい顔で確かに言った。




end




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