短編★
□戦争で……
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攘夷戦争。
この単語は、誰もが知っている言葉だ。
戦争自体あまりいいものではないが、私にとっては、他の戦争の方がまだよかった。
今まで数え切れない、いや、数えたくも無いほどの仲間が死んでいった。
明日もたくさんの仲間が死ぬ。
それが、怖かった。
だが、そんなことに慣れてしまった私はどうなんだろうか。
そんなことを考えながら、縁側に座っていた。
「おい、もう皆限界だ。」
「いつまで続くのだろうな。」
「こちとら心身共にやられちまってるてーのに、幕府の奴らは俺らを手伝うどころか、邪魔ばかりしやがる。」
「何を考えてるのか、さっぱりぜよ。」
「なぁ、ルカ。お前は女なんだ。戦争に来なくてもいいんだ。」
「何をいまさら。やると決めたら最後までやる。負けるとわかっていてもね。」
「しかし、仲間は、こちらは減るばかりだ。」
「戦争がなにか、どういうものなのかわかっていて参加したのでは?」
「そうじゃが……。おんしは悲しくないんか?」
「……。」
「どうした。黙っちまって。まさか悲しくない、なんて言うつもりじゃねぇだろうな。」
「……が………ない。」
「なんて……?」
「仲間の死が悲しくないわけ無い!」
「……。」
「日が過ぎるごとに仲間が死んでいく。悲しいに決まってるさ。けど、それを受け止めなければこの世界で生きることはできない。」
「そりゃ当たり前だ。」
「お前達は生きたいか?私は生きたい。だからどんな現実だって受け止めるし立ち向かってやる。」
「それができれば、苦労はしない。」
「皆が皆、お前みたいに強くはねぇんだ。」
「強かろうと弱かろうとやることは同じ、刀を握り締めて戦うだけ。私の頭にはそれ以外何も無い。」
「困ったな。こんなにひねくれたとは。」
「誰がだヅラ。」
「ヅラじゃない。桂だ。」
「といっても、もう少し、明日かな。そこくらいで幕府は白旗あげるのでは?」
「おんしは最後まで戦い続ける気か?馬鹿なことはやめるぜよ。」
「さぁねっと。私は寝るよ。少し疲れたんでね。」
「変わったなあいつも、俺達も。」
「変わらねぇ奴なんていんのか?」
「いないな。」
「わしゃあ、どうすればいいのかのぉ。」
「自分で好きなように生きりゃいいんじゃねぇの?」
「確かあしたは、将軍と天人が交渉する最後の日だったな。」
「俺たちゃ国に裏切られたってこった。」
「おい、どこにくんだ?」
「この戦争もこの国も終わりだ。明日が最後。命日だ。俺がどうしようとてめぇらに関係ねぇよ。」
「それもそうだな。」
「明日になりゃてめぇ勝手に生きるってことだな。」
「わしゃ決めた。宇宙に行くぜよ。」
「前言ってたな。」
「そうだったかのぉ?アッハッハッハ!」
(桂、銀)「馬鹿に戻った。」
「そりゃあんまりぜよ。」
こうして皆別々の道を歩いてしまったんだ。
辰馬は相変わらずだが、皆心まで変わってしまった。
私達攘夷志士と幕府、天人では誰が悪かったのだろうか。