短編★

□こどもの日
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「晋助〜!」

「あ?ルカか。」

「松陽先生が呼んでたよ。」

「今行く。」




二人は松陽先生のところへ行った。





「早いですね、ルカ。」

「待たせるのは悪いと思ったから…。」

「そうですか。晋助、これを。」

「竹刀?」

「はい。それは自分のものとして使っていいですよ。」

「本当ですか?」

「もちろんです。私からの贈り物です。」

「ありがとうございます!松陽先生!」

「どういたしまして。ルカにはこれを。」

「これは…?」




松陽先生に渡されたのは小さな箱だった。




「開けてみてください。」

「…これ、簪…。綺麗ー。」

「喜んでもらえましたか?」

「うん!ありがとう松陽先生!大切にする!」

「それはよかった…。」

「でも、何でいきなり…?」

「今日は何日ですか?」

「五月五日…こどもの日?」

「正解です。」

「私女だよ!」

「いいんですよ。ひな祭りは何もできませんでしたから。」

「そうでしたね…。」




思い出すと稽古や勉学で忙しかった。




「ありがとう松陽先生!誕生日とか父の日には今度は私達が何かあげる!」

「いい考えじゃねぇか。俺も何か贈ります!」

「…私は幸せですね。いい教え子ができました。」

「松陽先生!」

「何ですか?」

「「いつか恩返しさせてね!させてください!」」

「楽しみにしていますよ。」




これは懐かしい思い出。

決してもう蘇ることのない過去。

楽しかった思い出は今となっては悲しいだけのものになってしまった。

それでも少年と少女は自分の道を歩き続けた。



end

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