君と私

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ナナカマド研究所の裏庭

二人の少年がバトルしようとしていた

そして、始め、といわれる直前、ナナカマドに連絡が入った




「うむ。……何!?予定より一ヶ月も早い!」




かなり驚いているようだ

電話の相手も相当のことがあったのか叫んでいる

声ははっきりとは聞こえないが音は聞こえた





「今すぐ来るじゃと!…もう来てる?まだこちらには…」




バサッ、と音がして裏庭に現れたのはリザードン

その背中には少女が乗っていた




「お久しぶりです。ナナカマド博士」

「「ルカ/くん!?」」




一人の少年とナナカマドが少女の名前を呼んだ





「ん?この声はシンジ…。……久しいな…。なんだろうな。変わったな」

「?」

「背が高くなっている。何を食べたら高くなるのだろうか…。妾は全然ではないか」

「……。」




全員の目が少女の胸にいった

背ではなくその胸にとられてるんだなーと全員理解した




「お前もそんなに低くない」

「そうか?どちらでも構わないが。ナナカマド博士、オーキド博士からの預かり物です」

「ご苦労!」




封筒を開ける

紙が束になっていて枚数は30を超えるだろう




「内容はカントー地方でのポケモンの生態の変化、治安、トレーナー、
環境、研究所に預けられているポケモンの健康状態、カントーにいるポケモンの数
などを数値化し、それをさらにグラフ化したものです。
ホウエン、ジョウトも同様の内容となっています」

「ここまでよく調べ上げたものだ…」

「調査は一つの地方三ヶ月と移動の一週間をかけて行いました」

「うむ。さすがだ!」




少女は一礼する

シンジという少年は驚いていた

幼い頃から頭脳はずば抜けてよかったが今ではもっと難しいものもこなしている

少し、自分の知らないところが増えて不安になった




「裏庭…。バトルでもするつもりでしたか?」

「あぁ。そこにいる少年と…こっちの少年は知っているようだったな」

「はい。そちらの少女は?」

「新人トレーナーだ」

「あたしヒカリ!よろしくね!」

「うむ、よろしく」

「俺はマサラタウンのサトシ!こいつは相棒のピカチュウ!」

「……なるほど、このポケモンとは随分と長い付き合いなのか…」

「え!?なんでわかったんだ?」

「何を当然なことを…。あぁ…なるほどな」

「え?どういうこと?」





サトシの質問を無視してルカはフィールドに人差し指を向けた





「さて、勝負がしたいのではなかったか?」

「あぁ!!」

「博士、審判は妾がやらせてもらっても構いませんか?」

「うむ。いいだろう。」

「それでは両者規定の位置へ」




二人とも準備ができた




「これよりマサラタウンのサトシとシンジのバトルを始める。
使用ポケモンは三体。二体が戦闘不能となったとき、相手側の勝利とする。
それでは、始め!」




少女は声を少し大きくしスタート合図をした




「ねぇ、そういえばルカってカントーとジョウトでコンテスト優勝者よね?
確か…バッジもここ以外は全部持ってるんでしょ?すごいわ!」

「そんな大した事ではない。ヒカリと言ったな。何を目指している?
それなりに夢は皆持っている。きっとヒカリも持ってると思う」

「うん!トップコーディネーターになるの!」

「コンテストか…。あのサトシという少年は何かね?」

「ポケモンマスターって言ってたわ」

「ポケモンマスター…。近くにあるものほど見逃しやすいものは無い」

「え…?」

「常に仲間を思え。仲間がいる限り仲間のことを考えろ」

「…ダイジョーブダイジョーブ!!ありがとねルカ!」

「大したことは言っておらん」



気がつくと勝負は決着が付いていた




「エレキッド、ピカチュウ共に戦闘不能。この勝負は引き分けだ」





今のバトルを全て見たわけではないが、シンジは強くなったと思う

少し、焦っているようにも見えた




「おい!!またそうやって逃がすのか!?」

「お前には関係ない」

「何だと…!?」

「お前はお前のやり方でやればいい。俺は俺のやり方でやる」




サトシとシンジが争い始めた




「そこまでだ」




そう言うと二人の頭を叩いた

いや、殴るの方が正しいだろう

その小さな手は軽く握られていたのだから
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