キミガタメ
□一話目
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ポケモンじいさんのところに行った帰り。
「おい、お前、強いのか?」
「…一応な。」
「(強いなら俺がいなくてもいいだろ。)」
「……。」
「チッ。どんなポケモン持ってるんだ?」
「ドラゴンタイプ。」
「見せろ。」
「……。」
無言で5匹、外に出した。
{マスター?どうしたんですか?}ルカリオ
{この殿方は誰ですの?}ハクリュー
{水がない……。}キングドラ
{どうせならバトルがよかったな。}ガブリアス
{文句を言うでない。}チルタリス
「一匹だけ、ドラゴンタイプじゃないな。それに一匹ボールの中だ。」
「このポケモンは、ここではだせない。」
「こいつ、シンオウ地方のポケモンだな。」
{よくわかりましたね。}
「よくわかったな。」
「こいつだけ違う理由は何だ?」
「幼い頃からずっと共にいた。」
「シンオウ出身か?」
「ジョウトの出身だ。」
「じゃあ、こいつはどうやって。」
「シンオウ地方のチャンピオンにもらった。卵で。」
「チャンピオン!?シンオウ地方には行ったのか!?」
「あぁ。」
「バッジは?」
「ジョウト(ここ)以外は手に入れている。」
「な!?リーグは!?」
「同じく。」
「(こいつ!強いんじゃないか!)」
「いきなり出してしまってすまない。もどってくれ。」
そう言ってポケモンをしまった。
「なんで、ジョウトだけ制覇しないんだ?」
「理由がわからなくなった。」
「理由?」
「今まで強くなるために旅をした。だが、それには理由があった。」
「それがわからなくなったのか?」
「……。」
「なんでわからなくなったんだ?」
「わからないんだ。故郷に帰ったときに、わからなくなった。」
「……。(記憶喪失か…?)」
「……。お前は、何故ポケモンがほしかったんだ?」
「世界一になるためだ。」
「なって、どうする。」
「俺の存在を知らしめる。」
「……。」
「(どうしたんだ?こいつ。)」
「……。(存在、知らしめる、か。)」
シルバーはルカの顔が少し歪んだ様に見えた。
「っ……!(俺は一体どうしたんだ?)」
「早く、行くぞ。」
顔を見られないように、髪で隠して言った。
「(何なんだ?)」
知りたくても、教えてくれるような奴ではないと判断し、
シルバーは心の内に疑問を閉じ込めた。
何を隠しているのか、を。