masterpiece
□4個目
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家庭訪問当日。
先生が来る時間は午後3:00。
「じゃあ、行ってきまーす!」
「電車の降りるところはわかるか?」
「大丈夫だよ。」
「三つ目の駅だぞ。」
「大丈夫だってば〜。」
(四つ目じゃなかったけ?)
「四つ目ではない。三つ目だ。」
「わかってるー。じゃあね!」
「あぁ。行ってこい。」
玄関のドアが閉まっても尚心配そうな目を向けているのだった。
「過保護過ぎじゃねぇか?」
「去年も一昨年もその前の年も迷子になったんだ。」
「マジか。」
「マジだ。」
「迷子になった後はどうしたんだ?」
「捜索願を出して見つけた後学校に送ってもらったらしい。」
「警察?真選組じゃねぇのか?」
「昔はあったが今はなくなった。後、こちらでは新選組だ。」
「そうか。」
「さて、買い物もあるしそのついでにルウを送ろう。
帰りは高杉に迎えに行ってもらう。」
「逃げるかもしんねぇからな。」
「鬼!」
「最高の褒め言葉だな。」
「家庭訪問は高杉はどこにいても構わないがお前は私といろ。」
「鬼ー!」
「鬼より夜叉の方が響きが好きだ。」
「そっちの問題!?」
「どうせなら俺もいてやるぜ?」
「そうだな。ではこれでいいか。」
「あんたら鬼だー!」
「「最高の褒め言葉だ。」」
「自覚すんな!褒めてないし!」
そして登校時間。
「マジでついてくるんだ。」
「有言実行。」
「てか、高杉さん帰って。目線がとても痛い。」
「あ?」
「周りの人の声を良く聞いてみてよ!」
「あの人かっこよくない?」「かっこいい!」「写メ撮ろ。」
「あれ彼女?」「いいなぁ、別れてあたしと付き合えばいいのに。」
「だってあの女アレなんでしょ?」「うわーないわー。」
「マジでかっこいい。」「あの男の子はいいわよねー。」
「うんうん。」「純粋だよねー。」「ねー。」
(ほとんど悪口じゃねェか。)
高杉はルカを見た。
本人は聞こえていないのだろうか、無表情だ。
大して気にしている様子でもない。
「……あ、学校だ!じゃあ、行ってきまーす!」
「…行ってこい。」
「うん!」
そう言ってルウは校門へ走っていく。
「大丈夫か?先ほどから暗い顔をしているが。」
「あ?」
(暗い顔だと?)
「悩みでもあるのか?それとも具合でも悪いのか?」
(こいつ…。)
「?」
「なんでもねぇ。てめぇこそ何でもないのか?」
「何がだ?」
「周りの声だ。気づいてんだろ。」
「…あぁ。私がアレだということか。心配ない。慣れている。」
(アレ?慣れてる…か。)
「気にしていては生きていけない。」
「そうかい。」
そうして二人は買い物をするためスーパーへと向かった。