おはなし*

□長い夜の話。
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消灯時間が過ぎても眠れない夜もある。
秋の長い長い夜。
まだまだ眠れない僕と柳沢は他愛もない会話をしていた。

「そういえばさ、うちの剣太郎・・・あ、剣太郎分かる?」
「分かるだーね!六角の一年部長だろ?」
「そうそう、あいつすっごくモテたがるの。」
「年頃の男の子なんだからそれが普通だーね。」
「ふーん、僕他人にちやほやされるのなんか嫌だからそういう感覚分かんないや。」
「淳はもっと色んな人としゃべるといいだーね。もっと世界が広がってきっと楽しいだーね。」

そうかなぁ、と言いながら今日観月からもらったマフィンを食べる。
柳沢に食べながら喋ったらだめだーね!って言われちゃった。

「ぶっちゃけ淳はモテモテだーね!隠れファンとかいるし。」
「僕昔からモテるんだよね。」
「喧嘩売ってるとしか思えない発言だーね。」
「双子だからかな、いつもちやほやされてた。可愛い可愛いって。」
「モテるならいいだーね。嫌われるよりましだーね。」
「そうだけどさ・・・あ、オレンジジュースいる?」
「お、ありがとだーね。」

差し出されたグラスにオレンジジュースを注ぐ。
オレンジの香りがふわっとした。
オレンジと言えば、今日の朝下駄箱にオレンジ色の封筒入ってたの忘れてた。
ファイルから取り出すと柳沢が目を輝かす。

「それラブレターだーね?」
「多分そう。」
「なんて書いてあった?」
「これ読めば?」
「そんな、読めないだーね。書いた子に悪いだーね。」
「柳沢は優しいなぁ。」

手紙を見つめて机に置いた。

「呼び出されてたんじゃ・・・」
「そうだけど。行って今日は具合悪いからまた今度ねって言っといた。」
「そんなんならはっきり断った方がいいだーね。」
「僕はそっとしておいて欲しいんだよ。」
「でも、かわいそうだーね。」
「そうかもね。で、柳沢はモテたいの?」
「いきなりなんだーね!でも、どっちかって言うとモテたいだーね。」
「そうなんだ。」
「とりあえず淳はもっと女の子に優しくしなきゃダメだーね。明日手紙もらった子にはちゃんと謝る、わかった?」
「分かったよ。ちゃんと返事してくる。」
「じゃ、そういうことでこの話はこの辺にして残ってるお菓子たべるだーね!明日起きれなくなっちゃうだーね。」
「そうだね。」

ポテチにチョコにマフィン、色んなお菓子を食べながらまた他愛もない会話を続ける。

ぬるくなったオレンジジュースを飲みながらあの手紙を見返した。
これはまぁ、明日決着をつけるとして、
まだまだ夜は長い。
さて、次はどんなお話をしようかな。
・・・柳沢寝ないでよ?



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