おはなし*
□大きな大きな木の下で
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なんにもない日曜日。
起きたらもう昼だったというお決まりの落ち。
淳は明日帰るとかなんとか。
3連休の真ん中はどうもゆっくりしたくなる。
「亮ー!淳ー!!見て見て!!!」
お母さんがにこにこしながら小さなテーブルを出してきた。
「あれ、それ見たことある。なんだっけ。」
淳がそのテーブルを見てうーん、と考える。
俺も見たことあるけど・・・
「正解言ってあげようか??」
お母さんが僕たちの真似をしてくすくす笑う。
「小さい時よくお庭の大きい木の下で二人でおにぎり食べてたでしょ?その時使ってたテーブルよ!」
「「あ、そうだった。」」
俺らの声が重なるとまたお母さんは笑った。
「今日いい天気だし、久しぶりに二人でお庭でごはん食べたら?」
「僕はいいけど亮はどう?」
「淳がいいなら。」
「決まりね。じゃあ、お母さんお父さんと買い物行ってくるから勝手にお昼食べててね。おにぎりくらい作れるでしょ?」
「まぁ、一応。」
「もう三年生だもんね。じゃ、がんばって!」
ひらひら手を振るとお母さんはお父さんとでかけてしまった。
「亮どうする?」
「おにぎり作るろうか。お腹空いちゃった。」
気づけばもう1時。
お腹もぐーっと鳴る。
炊飯器を見るとごはんは結構入っていた。
「淳ー何入れる??」
「しゃけフレークと梅と・・・他になんかある?」
「ツナマヨ?」
「作るのめんどい。」
「じゃあ、しゃけと梅でよくね?」
「そうだね。」
せっせとおにぎりを握る。
お母さんはなんであんなに早くきれいにできるのだろうか。
淳と俺のおにぎりは時間がかかるしぶかっこうだしお母さんが作ってくれるおにぎりとは程遠い。
お皿に並べられた10個のおにぎりはヘンテコで二人で笑ってしまった。
「おにぎりできたし、木の下にシート敷こうよ。」
「そうだな。」
外に出ると日差しが暖かくて心地よかった。
日向ぼっこ日和である。
シートを二人で敷いて、小さなテーブルを乗っける。
そこにぶかっこうなおにぎりの乗っているお皿とお茶とコップを置いて、やっとお昼ごはん。
相変わらず食いしん坊な淳は両手におにぎりを持ってごきげんだった。
「外でごはんっていうのもいいものだね。」
「そうだなぁ、日差しも気持ちいいし。」
「うん、おにぎり食べ終わったら寝ちゃいそうだよ。」
「食べ終わったら日向ぼっこでもするか。」
「そうだね。でも、そのまま寝ちゃいそう。」
大きな大きな木の下で、今も昔も変わらずおにぎりを食べる。
そういえば小さい時も食べた後は日向ぼっこしていつのまにか寝ちゃってたっけ。
淳もそのことを思い出したのか、僕らって昔から変わらないよね、とくすくす笑った。
そうだな、と俺もくすくす笑う。
お皿にいっぱい乗っていたおにぎりはいつのまにかなくなっていて、いっぱい寝たのに瞼が重くなってきた。
淳はもう眠っている。
俺も寝ちゃおう。
おやすみなさい。
大きな大きな木の下で