おはなし*

□ドアを叩く音がした
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僕と亮はテニスを習い始めた。

習い始めのころは双子が珍しいのかいっぱい話しかけられたけど、それが僕らは嫌だった。

もう話しかけないでってオーラが出てたのかそのうち話しかけてくるやつはいなくなっていた。

だけどそんな僕らにやたらと絡んでくるやつが一人いた。

そいつはみんなに優しくてテニスが上手できらきらしているやつだった。

でも、僕らの世界にあいつはいない。

僕の世界は僕と双子の兄の亮で成り立っていたんだ。

だから第三者なんて関係無かった。



「亮くん、淳くん!一緒にテニスしようよ!!」

「・・・。」

いつもいつも絡んでくる佐伯くんに僕はうんざりしていた。

亮もあいつうざいって言ってた。

なんでこんなに絡んでくるのかな。

そもそも僕らの見分けつくのかな。

うさんくさいし。


「ねぇ、佐伯くん。」

亮が口を開いた。

「僕たちの見分け君はついてるの?」

佐伯くんは黙ってしまった。

ほら分かってないじゃない。

亮と顔を見合わせてくすくす笑った。


「・・・喋ってない方が淳くん、今見分けつくのどっちって聞いたのが亮くんでしょ?」


僕たちは顔を見合わせた。
こんなことは初めてだ。


「ち、ちがうよ僕が淳でこっちが亮だよ。」

「そうだよ。佐伯くん分かってないじゃん。」

「そんなはずないよ。だって違うもん。」

その意外な言葉に驚きえっ!?という僕らの声が揃うと佐伯くんは笑った。

「やっぱり双子だね。でも、亮くんも淳くんも見た目は似てるけどやっぱり違う。だから俺は分かるんだよ。」

佐伯言葉に驚きやとまどいや嬉しさ・・・色々な感情がぐるぐるした。

「淳、俺らの負けかもよ。」

「そうかもね・・・。佐伯くん一緒にテニスしよう。」

「いいの?」

「誘ったの佐伯くんじゃん。」

くすくすと僕と亮は一緒に笑った。

つられたのか佐伯くんもまた笑っていた。




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