おはなし*

□双子のともだちの話。
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防波堤に座って亮と雑談。
いつもみんなでいるから亮と二人っていうのは久しぶりな気がする。
さっきまでは俺ハチマキ巻いてみたいんだよねー似合うかな?
とか、淳の寝顔がかわいいとか元気によく分からないことを言っていたのに、俺の一言で亮は一気に元気がなくなった。

「明日淳帰ってくるんだって。」
「え?俺に連絡来てない・・・。」

声が震えてる。
ちなみに涙目。
これ、やばいんじゃない?

いきなり口を開いたと思ったら、
「淳ルドルフに行ってから反抗期なんだよ・・・どうすればいいのかな?あの観月とか言うやつがなんかしたんだ。絶対そうだ。今から東京行かなくちゃ。お兄ちゃんが淳を守らなきゃ観月に殺られる・・・」
って、ずっと繰り返してる。
呪文みたいで怖い。

「まぁ、落ち着いて。もしかしたらアド変のメール届いてないんじゃない?」
「届いてるよ。だって、了解。って来たもん。」
「亮なんかした?」
「なにもしてない。ただ時間があればルドルフに行って・・・」
「それだよ。」
「へ?」
「ルドルフに頻繁に来られたら淳も困るでしょ。」
「なんで会いに行っちゃいけないの。俺兄貴だよ。」
「迷惑だと思うけど。」
「淳嫌がってるの?」
「ちょっとぐちってたよ。ちょっと自重しなよ。」
「分かった・・・。」

しゅんとする亮。
なんだかかわいそうになってきた。
もう充分なんじゃないかな?
って思った時。

「亮、言ったね。僕は聞いたよ?ルドルフに来るの自重してね。」
「その声は・・・淳!?」

くすくす笑いながら登場する淳にとまどう亮。
この絵ちょっとおもしろい。

「サエ協力ありがとう。」
「どういたしまして。」

あまり表情を顔に出さない亮が思いっきり驚いた顔してる。
こんな亮1年に1度見れるか見れないか・・・

「ごめんごめん。淳に頼まれてさ。」
「うん、僕が頼んだの。観月にお兄さんどうにかしろってうるさく言われててさ。」
「俺のこと嫌になったの?」
「そうじゃないって。観月がうるさいの。あと僕もさすがに週1で来られると困るから。」
「ごめん。」
「会いに来るの2か月に1回くらいにしてよ。そのくらいにしてもらわないと僕また怒られる。」
「ごめんなさい。」
「今度来たらすぐ追い返すから」
「分かりました。」

二人のやり取りがなんだかかわいくてくすっと笑ってしまった。

「「サエ何笑ってるの!?」」
「いや、かわいいなぁって。」
「サエはこうやって女の子落としてるんだね。」
「やなイケメンだね。」
「なんで矛先俺に向かってるの。やめてよ。」
「ごめん。でも、サエありがと。助かったよ。。」
「いえいえ。でも、当分巻き込まないでね。」
「それはどうかな?くすくす。」
「またなんかする気なのかよ。サエー淳が怖いよ。」
「淳もほどほどにね。亮そのうち精神崩壊するから、テニス部崩壊の危機だから。」
「はいはい。あ、サエ今日うち来なよ。いっぱい母さんご飯作ってるだろうからさ。」
「いいの?」
「いいよ。おいで。」
「ちょっと待て淳。母さんも帰ってくるって知ってたのか?」
「あたりまえじゃん。」

あーあ、本気で亮泣くぞこれ。
目うるうるしてる。
そんな亮に淳ががさごそとバックを漁って何かを取り出して亮に差し出した。

「亮ナゲット好きでしょ?あげる。」
「淳・・・!!」
「よかったな、亮。」
「うん!ねぇ、サエ。」
「なに?」
「いつも、話聞いてくれてありがとな。」
「うん。」

俺の友達の双子ちゃんは昔から俺を色々なことに巻き込んでくる。
でも、それは全部いい思い出なんだ。
またなにかあったら力になりたいな。
二人の頼みは断れないしね。




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