おはなし*

□どきどきみっどないと
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先日淳がにこにこしながらカレンダーに赤いペンで丸を付けていた。
その日は潮干狩りの日でも、遊園地に行く日でもない。
淳は丸の下に黒のペンで字を書いた・・・恐怖映像★と。

愉快すぎる★にいらいらが隠せない。
あと、今日サエと剣太郎に三つ編みされて髪がふわふわになってしまったことをふと思い出してちょっといらいら。

・・・話がそれてしまった。
そんなことはぶっちゃけどうでもいい。
ストレートにちゃんと戻ったし。
ついに、赤い丸の日がきたのだ。
俺にとっての恐怖の日が。

「亮今日早く寝ないでよ?一緒にテレビ見るんだから。」
くすくすと楽しそうに笑う淳。
「お前だけ見ればいいだろ!!」
「なに?こわいの??」
「眠いから寝かせてよ。」
「えー。」
「・・・。」

どうやら俺に拒否権なんてなかったようだ。

とうとう番組が始まった。
淳はこれやらせでしょ。くすくす。とか言って楽しんでる。
やらせでも怖すぎだろ!これ!!馬鹿じゃん!!!
こんなことなら誰かの家にお泊りに行けばよかった。
いっちゃんの所とか・・・。
いっちゃんは優しいから怖いの俺に見せないと思うし。
やだなぁ、と思いながら被ってる毛布をぎゅっと握った。

「淳は俺の事いじめるの好きなの?」
「うん、好き。」
「・・・俺双子やめたい。」
「それは僕が困るよ。」
「柳沢がいるじゃん。」
「柳沢はうるさいもん。だーねだーね言ってさ。」
「たしかに・・・。」
「亮は割と静かだし、いじっても本気では怒らないし。ナゲットくれるし。気が向くと史跡めぐりにも付き合ってくれるいい兄貴だよ。」
「うわっ、なんだよあれ・・・!!白いの白いの!!」
「ちょっと聞きなよ。いいこと言ってるんだから。」
「ごめん、なに?」
「亮なんて知―らない。僕もう寝る。」
「ちょっと、待てよ淳!!」
「一人でちゃんと見てね。明日僕に内容教えて。じゃ、おやすみー。」
「・・・・。」

毛布をかぶって寝たふりをし始めた。
くすくす。
本当は聞こえてたよ。
恐怖映像のことは大目に見てやろう。

・・・でも、今日寝れるかなぁ。



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