キミノ日常

□男子高校生と恐怖政治
1ページ/1ページ

夕方の土手沿い、モトハルと姉はいつもの様に会話をしていた。


「モトハル〜今日の晩御飯なに食べたい?」
「あ?…あ〜ぁ…カレーかな…」
「あぁ〜カレーねぇ〜…レトルトでいいっしょ?」

「あぁ…」

何故かモトハルが余所余所しい。

「…あんた…どうしたの?」
「えっ…な…なんでもねぇよ…」

「いいなさいよー!絶対なんか隠してるでしょうが!!」
「いやだからないって…」

10分くらい口論が続いただろうか。姉がいきなり叫んだ。

「あっは!わかった〜あんた好きな人できたんでしょ〜!」

意表を突く質問に驚くモトハル

「えっ…なんで?」

「そりゃ姉だもんね!てか女の感?がはは!」
「えっ姉ちゃん女だったんだな」
「は?」
「いえ」


「いんや〜そっれにしても…やっと男になったかモトハルよ…!」

「(いや違うんだけどな…)」

とは言えないモトハルに、
さらにを質問する姉。

「どんな子?カワイイ?あたしの妹になるんだから可愛くなきゃ許さないよ!」
「え もう結婚する感じなんだ…」
「そりゃあ早いに越したことないじゃない!」

「(違うんだけどな…)」

とは言えないモトハルを他所に、姉は話を続ける。

「んで?!おんなじ学校の子?」
「イヤ うち男子高なんですけど。」
「えっ?!モトハルの好きな子って…?!…!そっか〜そうだよね〜そういう人もいるんだよね〜」

どうやら勘違いしてしまったようだ。

「んでまぁ冗談は置いといてさ、なんであんた余所余所しいの?」

「(いや冗談だったんかぃぃぃぃぃ!!!!!
俺がっ!どんだけ言い出しにくかったか分かるかコノアマァァァァァア!!!)」

とは言えないモトハル。

言ってしまえば恐怖政治が始まる。姉を怒らせなければされないのだ。抑えろ俺…!耐えろモトハル…!


そう、何故モトハルがこんなに余所余所しいのか。
答えは簡単な事だった。




姉のパンツが丸出しだったからだ。


スカートがめくれ、姉はパンツ丸出しのまま歩いている。

だれがどう見てもマヌケな格好になっていた。

モトハルは言うか言うまいか迷っていた。

言ったとする、姉は確実に
「なんではやく言わないんだこのバカがぁぁぁぁぁあ!!」

ブンブンブンブン

言わないとする
「ちょ!なんで言わないのよこのバカがぁぁぁぁぁあ!!」

ブンブンブンブン


どっちにしても回される。
イヤ

殺される。

だからモトハルは、姉に気づかれないようにスカートを直す方法を考えていた。

「(…どうしよう…)」

「おい モトハルよ!何故喋らぬ!答えぃ答えぃー!」

呑気に殿様ごっこをしている姉を他所に、モトハルはみるみる沈んでいる。

「殿…なんでもないでござるんば…」

「ぶはっwwwござるんばってwww(笑)」

「(よし。なんとか誤魔化せた!)」

そして考えるモトハル。

「(どうすればいいんだ…!考えろ俺!…タスケテ唐沢!!)」

「呼んだか。」
「うぎゃぁぁぁぁぁぁ!?」
「うわっ?!どうしたモトハルよ!…ん?君は確か…生徒会の…」

ガシッ!

「なっ…!何をする!うわっ…ぁぁっ!」
何故か唐沢が姉に襲いかかった。
そしてモトハルの方を向くなり親指を立てた。
「(行け!今だ!)」
「(唐沢…!)」

生徒会の友情だろうか、心が通じ合う二人。

だが。

「いったいって…いってんだろうがあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

ブンブンブンブン!!!

姉が唐沢の両腕を掴んで振り回した。
まるで扇風機のように…

無言で唐沢が飛ばされる。

だが、唐沢のおかげで姉のスカートが元にもどった。

「(スマねぇ唐沢!…お前のおかげで俺も姉のパンツも守られた!)」

ドガッ!!


安堵したのもつかの間。
飛んで来た唐沢がモトハルの背中に突撃した。




「(どっちにしても…助かりはしないのな…)」



グフっ…!



この日、
モトハルには恐怖政治を恐れない強い心が生まれたという。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ