Butterfly

□Last−After
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「なぁなぁ、あいつら、次の飯までに出てくっかなぁ〜?」

「さぁ? まぁ、いいじゃない! 好きにさせれば……」

「よくねぇっ!! おれは腹減ってきた!! おいサンジ!!」

「あ〜……?」

「腹減った! 飯!!」

「……じゃあ、そこの芝生でも食ってろ……」

「えぇ〜っ!? コックなのにっ!?」

「やべぇ! サンジがやべぇぞっ!!」

「ったく……。ねぇサンジくん! あたしもお腹空いてきちゃった! 何か作ってくれる?」


途端に、地を這うミミズのようになっていたサンジが飛び起きた。


「は〜い! ナミすわ〜ん! ただいま〜!!」


サンジは船内へと素早く姿を消した。


「……おい、立ち直り早ぇな」

「あいつの原動力は『ラブ』か『エロ』だからな……」


その時、ゾロが何食わぬ顔で船内から出てきたので、ナミとロビンは目を合わせ、にやにやしながら近づいた。


「ゾロ! レインは?」

「……寝てんじゃねぇか」

「ふふっ……喜んだでしょ? あのドレス!」

「……」


ゾロは途端に不機嫌な顔つきになった。

それは、ナミが掌を差し出したからだった。


「きっちりもらうわよ! コ―ディネイト代!」

「ち……」


二人のやり取りを微笑みながら見ていたロビンは、ナミと目を合わせながら質問を投げかけた。


「それで……参考に聞かせてくれるかしら?」

「あ?」

「だ・か・ら、レインのどこが一番好きなの?」

「なっ……!?」


ニヤニヤする二人を前に、ゾロはふいっと顔を背けた。


「んなもん、教えられる……」

「教えてくれたら、チャラにしてあげてもいいわよ!」

「……!」


ゾロは不機嫌な顔のまま深く溜め息をつくと、少し考えるように俯いた。


「――そりゃ……俺に惚れてるとこだろ」

「!」


二人は顔を見合わせ、同時に吹き出した。


「あははっ!」

「なんだ? なんで笑うんだてめぇら!?」

「ふふっ……似たもの同士って事ね」


二人はしばらく笑っていたが、船内から出てきた者を見るなり、笑うのを止めてゾロの傍から離れた。


「レイン……」


レインの横を通る際に、ロビンは微笑み、ナミはウインクした。

レインも二人に微笑みを返すと、ゆっくりとゾロの傍へと近づいた。


「おい……ふらついてんぞ」

「あぁ……四刀流の剣士にやられた」

「……そりゃあ、かなりの凄腕だな」

「あぁ。でも、そいつにもかなりのダメ―ジを与えておいたからな。引き分けだ」

「はっ……引き分けかよ!?」


真面目な顔で言うレインに、ゾロは吹き出した。

レインは海とゾロを交互に見つめると、優しく微笑んだ。




「おい……あいつら、まだイチャコラしてんぞ……」

「見るな! 俺等にゃあ、目に毒だ!」

「ふふっ……じゃあ、みんなまとめて面倒見てあげましょうか?」


その途端、男共の股間からロビンの手が生えた。


「!」

「うわわっ! やめろ! ロビン!! 船の風紀が乱れる!!」

「ふふっ……」

「いや、やめろ―ッ!!」





「……何やってんだ? あいつら……」

「ふっ……いつも賑やかだな」

「……」


お互いにとってこんな安らかな時間は初めてで、どちらからともなく体をそっと寄せる。

二人は、言葉を交わす事無く海をしばらく見つめていた。

この空間に言葉など、不要な物のような気がした。

しかし、その静寂をゾロが不意に破った。


「おい、一度しか言わねぇぞ……」

「ん……?」

「愛してる……どうしようもないほどに」

「……!」


レインは突然の言葉に驚き、思わず何かが口から飛び出しそうになったが、それはゾロの唇によって即座に阻止された。

心地よい風が体を通り抜け、触れた部分は熱を帯びた。

ゾロはそっと唇を離すと、何事も無かったように、熱の籠もったままの目を海に向けた。


「……で、今からどうする気だ?」

「ここに来るのが目標だったからな。特に予定はない」

「そうか。――なら、俺の子でも産むか」

「え……?」

「嫌か?」

「別に。……まぁ、予定もないし、作ってやってもいい……」

「……多分、大悪党になるな」

「あぁ……楽しみだ」


二人は微笑み合うと、もう一度きつく抱き合った。

お互いの背中越しに見える海は、穏やかな波を静かに打ちつけている。

それは二人が今まで見た中で一番、美しい海に見えた。






END











あとがき



ここまで読んでいただいた皆さん、本当にお疲れ様でした! 

本当は完全単発読み切りにしようと始めたのですが……。

だらだら書くのが好きなんでしょうね。本編より長くなったらどうしよう……と、ドキドキしてました。

この作品では、一味以外に色んな人物を出してみました。

黒ひげも出ましたね。

あれはスト―リ―の進行上、まったくいらないシ―ンではあったのですが……一度殺しておこうかな、と思い書いておきました。

でも、頂上戦争がなくなって、暇になった人達が助けに来てくれたので結果オ―ライ! でしたね。いや〜よかった。

ここで描きやすかった人物を次の作品に出そうかなと思っています。

とりあえずショ―トスト―リ―からちょこちょこ載せましょうかね。

では、またどこかのあとがきで!! 
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