Butterfly

□Last−After
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レインが再び去ってから二ヶ月あまりが過ぎた。

一味は一路新世界へと向け、船を走らせている。


「ゾロ? どうしたの?」

「……」


いつも通り甲板で眠っていたと思われるゾロが、いきなり空を見つめ立ち上がった。


「ん? あれは……!?」

「……いや、あれ見た事あるぞ……デジャヴか!?」

「ぶ・つ・か・る―っ!!」


何かが突然船に舞い降りた。

舞い降りた、と言うよりは流星のように凄まじい速さで襲ってきた。

しかし、ゾロは驚く事無く刀一本でそれを受け止める。


「……ゾロ!」

「まさか、またかっ!?」


ゾロの刀と重なる剣は、見た事のある、それではなかった。

しかし、剣の先には、やはり見た事のある女がいた。


「レイン……!」


レインは力を緩め、ひらりと後ろに回転して着地すると、剣を納めてゾロに微笑んだ。


「また、強くなった……」

「……ったく、それしか言う事ねぇのか?」


ゾロも刀を納め、呆れたようにレインを見る。

しかし、レインは首を横に小さく振ると、ゾロに駆け寄り飛びついた。


「愛してる……ゾロ……!」


あの時言えなかった想いを全身で示すように、腕は首に回し、脚は腰に回して、レインはそのままゾロに口付けた。


「お……!」

「あら……」

「おいおい……」


レインに駆け寄ろうとした皆は、構わず熱い口付けを交わす二人をただ呆然と見つめる事しかできなかった。

ゾロはレインをしっかりと抱え、唇を合わせたまま船内に入ろうとした。


「おい、お前ら何騒いでん……」


そこに片づけを終えたサンジが出てくると、金色の髪から覗くゾロと視線が交差した。

ゾロは目だけで、どけ、と言うと、サンジを押し退けそのまま船内へと入っていく。


「おい……」


ゾロが抱えていたのは、間違いなくレインだった。

サンジは呆としながらも、今自分の目が見たものが信じられなかった。


「なっ……」


いや、信じたくはなかった。


「なんじゃありゃ――っ!!!?」






レインは時折眉を寄せ、熱い吐息を何度も漏らした。

ゾロの舌に自分の舌を絡め、夢中でその口腔を貪る。

あまりに長い間そうしていた為口の端から唾液が伝うが、そんなものを気にしている様子はない。

ゾロはレインをベッドに下ろすと、一度唇を離した。


「なんだお前……ますますエロくなったんじゃねぇのか?」

「あぁ……、ご無沙汰なんだ。どういうわけか……」

「そりゃ奇遇だな……。俺もだ」


ゾロはレインの、真っ青なドレスのファスナ―を下ろしながら、首筋や鎖骨を丹念に愛撫した。


「いい服着てんじゃねぇか……」

「届いたんだ……。ある、『無愛想で気が利かなくてお金も持ってない』剣士から……」


「っ……」


ゾロが思わず唇を離し、おいおい、というと、レインは笑いながらゾロの服を脱がした。

傷痕に何度もキスをすると、その下にある乳首を愛しそうに甘く噛む。


「海の色……お前の瞳の色だ」

「……脱がす為に、着せたんだろ?」


ゾロはニヤリと笑うと、レインの服をすべて取り去り、押し倒した。

味わうようにその柔い肌へと舌を這わしながら、例の傷があったはずの箇所を見つめた。

そこは薄く色を放ち、熱を持っている。


「……」


最初にこの傷を見たのはいつだったか。

振り向きざまに服を開き、これでも抱けるのか、と言わんばかりにこの女はこれを見せ付けてきた。

思えば、あの時から自分はこの女に囚われていたのかもしれない。


ゾロがそこに唇を這わせば、昔と変わらない傷痕がすぐに形を成した。


「はっ……あ……」


その久しい感触に、堪らないというようにレインが顎を反る。

しかし、気持ちはあの頃とは全く異なっていた。

あの頃はただ、夢中だった。

夢中でゾロに身を任せながらも、その想いの全ては受け止めきれずにいた。

それはきっと、自分が自分を否定し続けていたからに他ならない。

しかしこの男は、そんな自分ごと受け止めた。

自分さえも受け止められない自分を、丸ごと受け止めてくれたのだ。


「ゾ……ロ……ッ」


レインは切なげに鳴きながらも、ゾロの全てを欲した。

今度は自分がこの男を受け止めるのだ。

その心も、体も。



ゾロは下着をするりと剥ぎ取ると、そこへ顔を埋めた。

途端にレインは仰け反り、はぁっと息を漏らす。

そこはすでに溢れており、ゾロと繋がる事を一秒でも早く待ち望んでいるように見えた。

もちろんそれは、ゾロも例外ではない。


「レイン……」


ゾロは勃ち上がったものを掴むと、込み上げるような熱い想いと共に、一気に沈めた。


「あぁ……ッ!」


窮屈ながらも溢れかえった蜜のお陰ですぐに奥まで到達すると、ゾロはある一点に狙いを定めるかのように大きく腰を打ちつけた。

何度も何度も、その芯を掻き混ぜ、愛しい女の身を揺さぶる。


「ア……! ッゾ……ロ……! 激……し……ッ」

「……だから、イイだろ?」


ゾロはまるで、逃がさない、と言うようにしっかりと腰を掴んでいた手を背中まで回すと、レインを自分の方へ抱き寄せた。

上体を起こしたレインを更に下から突き上げ、より深い所を激しく責め続ける。


「あぁッ! ゾロ……ゾロ……ッ!」

「お前は……俺の物だ」


目の前で揺れる乳房を掴み、その先端を強く吸うと、レインは耐えられないように仰け反り、ゾロをきつく締め上げた。


「あぁッ! だ……め……ッ!!」

「だめじゃねぇ……イっちまえ」


ゾロが律動を一層速めると、レインの体は大きく弓なりに反り、すぐにその体は絶頂を迎えた。


「あぁ……ッハッ……ァ……」


ぐったりと力が抜け切った後でも、その体は小刻みに震え、乱れた呼吸は止みそうにない。

しかし、ゾロは律動を止めなかった。


「まだ……離さねぇ」

「ッ……好きに……。私は……お前の物だ……」


レインは甘い支配の中にどっぷりと身を委ねた。

それは、長い時を経て、自分がずっと待ち望んでいたもののような気がした。
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