Butterfly

□After-5
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「……ッ!」


男は、レインの脚を開くと、自分のものを無理矢理ねじ込んできた。

千切れるような痛みに顔を歪めるレインに、男は相変わらず穏やかな口調で囁いてきた。


「男好きする体だ。吸い付いてくるな……。なるほど、これはいい」


男が律動を速めると、更なる痛みがレインを襲う。

その屈辱的な痛みは、レインの過去を鮮烈に呼び覚ました。

しかし、あの時より悲惨な事はない。

元々自分の体など、汚れた所から始まったのだ。

なのにこいつらは皆、自分が体を汚してやったのだ、と思っている。

それはなんて滑稽な事だろう。


「ふふっ……」

「! ……なんだ?」


突然天を見つめたまま不敵に笑ったレインを、男は動きを止めて不気味がった。


「痛みで気が触れたか……?」


男がまだそんな事を言うので、レインは更に笑った。


「はっ……気にするな。お前はどうせすぐ、死ぬのだから」

「なっ……!?」


その予言めいた言葉は、魔術のような黒い力を秘めている気がした。

男は一層気味が悪くなり、次第に差し込んだものは萎えていった。


(この女は……殺さねば)


男はレインの喉元を掴むと、一気に力を込めた。

しかし、レインの笑みは消えなかった。

男が更に力を入れようとした時、突如激しい痛みに襲われ、その手に掴んだものは放された。


「!」


男の手は、銃弾で貫かれていた。


「! ……一体どこから!?」


辺りを見回すが、遠くにさっきの島が見えるだけだ。


「まさか……」

「その、まさかだ」

「!」


男の腕は一瞬で挽き肉のように細かく飛び散り、体は船体ごと斬られた。

レインの耳に、何かがメキメキと倒れる音が聞こえた。

それはやがて海に落下し、小さなしぶきが顔に跳ねる。


「お前も知っているだろう? ウチの狙撃手の腕は……」


シャンクスは、他に敵がいないのを確認すると剣を納めた。


「……レイン……ッ! すまなかった! 来るのが遅れて……」


シャンクスに抱き締められ、レインはにっこり笑った。


「大丈夫……。来てくれるってわかってた……」

「レイン……」


この状況下でなぜ、こんな顔ができるのだろう。

シャンクスは頭の下がる思いだった。


「帰ったら俺がしっかり消毒してやるからな……」

「……エロオヤジ」


二人は誰もいない船上で、しばし抱き合っていた。
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