Butterfly

□After-4
2ページ/7ページ


「懸賞金……一億ねぇ。なかなか、控えめな金額だよな? レイン……」


エ―スは最新の手配書を見ながら笑った。

しかし、国を潰したとは言え、あれはあくまで戦争によるものだ。

なぜ、海軍に手配される必要があるのか。


(もしかして、俺等との繋がりが原因か……?)


あの時、ラボルディ―にはルフィ達の他にシャンクスや鷹の目がいたと聞いた。

いや、もし俺一人が関わっていたとしても、政府にとっては危険だと思われたかもしれない。

あいつらは意外と臆病だ。


「何見てんだよい? エ―ス」

「……あぁ、知り合いが賞金首になっちまった」


どこか嬉しそうなエ―スをちらと見ると、マルコは手配書に目を移した。


「女……?」

「あぁ。だが、とんでもないじゃじゃ馬だ! ははッ!」


上機嫌な様子のエ―スに、どんな知り合いか聞こうとした時、マルコは遠くから自分を呼ぶ声が聞こえて部屋を出た。




「オヤジ、呼んだかよい」

「マルコ……悪ぃが、フ―ドヴァルテンに飛んでくれねぇか?」

「どうしたんだよい?」

「島が攻められているらしいんだが……、どうも話の要を得ん。行って見て来てくれ」

「フ―ドヴァルテンか。わかったよい!」


あそこの島はここからそんなに離れていない。

マルコは手っ取り早く不死鳥化して、船を飛び立った。




新世界に来てからもうどのくらい経ったのだろう。

ここら一帯は、自分の庭といっても過言ではなかった。

新世界では珍しく、気候が安定していて飛行の邪魔をしない。

この分なら到着まではすぐだろう。






「なぁ……。あんた、具合悪いんじゃねぇか?」

「は……お人好しだな。自分に剣を突き立てた女の心配か?」


レインはもうその男に剣を向けてはいなかった。

嵐でやられた体が痛む。

またあちこち折れているのかもしれないな。


「だって、白ひげ海賊団を呼ぶ為だったんだろ? ……そりゃ、最初は驚いちまったけど」

「ふふっ……悪かったな。……うっ!」


レインが痛がって体を折り曲げたので、周りの住人達は一層心配そうな視線を向けた。

その時、空から一筋の青い光が飛んでくるのが見えた。


「あ、あれは!」

「マルコさんじゃねぇか!?」

「!?」


その鳥は、青い炎を纏って現れた。

しかし、大地に降り立つ頃にはそれはすっかり人間の姿を取り戻していた。


「あ〜……で、どうなってんだよい?」

「いや、呼び立ててすまなかった! この人があんた達に会いたいって言うもんだから……!」


住人に囲まれた中から顔色の悪い女が一人、ゆらと立ち上がった。


「……あんた、白ひげ海賊団の人か?」

「!」

(この女は……!)


しかし、マルコが頷くのを確認すると、その女は安心したかのように、意識を失った。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ