Butterfly
□After-4
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「懸賞金……一億ねぇ。なかなか、控えめな金額だよな? レイン……」
エ―スは最新の手配書を見ながら笑った。
しかし、国を潰したとは言え、あれはあくまで戦争によるものだ。
なぜ、海軍に手配される必要があるのか。
(もしかして、俺等との繋がりが原因か……?)
あの時、ラボルディ―にはルフィ達の他にシャンクスや鷹の目がいたと聞いた。
いや、もし俺一人が関わっていたとしても、政府にとっては危険だと思われたかもしれない。
あいつらは意外と臆病だ。
「何見てんだよい? エ―ス」
「……あぁ、知り合いが賞金首になっちまった」
どこか嬉しそうなエ―スをちらと見ると、マルコは手配書に目を移した。
「女……?」
「あぁ。だが、とんでもないじゃじゃ馬だ! ははッ!」
上機嫌な様子のエ―スに、どんな知り合いか聞こうとした時、マルコは遠くから自分を呼ぶ声が聞こえて部屋を出た。
「オヤジ、呼んだかよい」
「マルコ……悪ぃが、フ―ドヴァルテンに飛んでくれねぇか?」
「どうしたんだよい?」
「島が攻められているらしいんだが……、どうも話の要を得ん。行って見て来てくれ」
「フ―ドヴァルテンか。わかったよい!」
あそこの島はここからそんなに離れていない。
マルコは手っ取り早く不死鳥化して、船を飛び立った。
新世界に来てからもうどのくらい経ったのだろう。
ここら一帯は、自分の庭といっても過言ではなかった。
新世界では珍しく、気候が安定していて飛行の邪魔をしない。
この分なら到着まではすぐだろう。
「なぁ……。あんた、具合悪いんじゃねぇか?」
「は……お人好しだな。自分に剣を突き立てた女の心配か?」
レインはもうその男に剣を向けてはいなかった。
嵐でやられた体が痛む。
またあちこち折れているのかもしれないな。
「だって、白ひげ海賊団を呼ぶ為だったんだろ? ……そりゃ、最初は驚いちまったけど」
「ふふっ……悪かったな。……うっ!」
レインが痛がって体を折り曲げたので、周りの住人達は一層心配そうな視線を向けた。
その時、空から一筋の青い光が飛んでくるのが見えた。
「あ、あれは!」
「マルコさんじゃねぇか!?」
「!?」
その鳥は、青い炎を纏って現れた。
しかし、大地に降り立つ頃にはそれはすっかり人間の姿を取り戻していた。
「あ〜……で、どうなってんだよい?」
「いや、呼び立ててすまなかった! この人があんた達に会いたいって言うもんだから……!」
住人に囲まれた中から顔色の悪い女が一人、ゆらと立ち上がった。
「……あんた、白ひげ海賊団の人か?」
「!」
(この女は……!)
しかし、マルコが頷くのを確認すると、その女は安心したかのように、意識を失った。