Butterfly

□7.終わりの終わり
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「ジュ―ド……表が騒がしいぞ」


(来たか……)

「心配ありません。私が見てまいります」


ジュ―ドは寝室を出ると、長い廊下を歩きながら剣を抜いた。

ようやく、待ち焦がれた瞬間がやってきたようだ。

高ぶる気持ちを抑えられない。

ジュ―ドは、躍るような足取りで階下へと下りた。


「すげぇ数だな!」

「あぁ。スカルトにいた兵士の倍はいるな……。レインちゃん! 早く城内へ!!」


レインは皆を一度だけ振り返ると、殺気立つ兵士の群れを足早に駆け抜けていった。


「うわっ! なんだこいつら!?」


突如レインを見送る皆の前に、普通の兵士とは明らかに違う者が何人も立ちはだかった。


「!?」


一瞬怯んだ間にも、何十、何百の兵士が絶え間なく襲い掛かってくる。


「くっそ! 能力者か……!?」


この兵士の数だけでも厄介な上、加えて能力者まで揃えているとは。

この強大な軍事国はとても一筋縄ではいきそうにない。

しかし、ゾロの目の前にいた巨大な男は突然悲鳴を上げると、身の丈の倍もある炎に包まれた。


「何!?」


ゾロが振り返った先には、まるで式典の時のカ―ペットのように、赤々とした炎の道ができていた。


「能力者がいるのは、こちらも同じ事だ」

「!」

「……エ―ス! エ―スだ!! お―い!!」


少し先にいた、ルフィが嬉しそうな声を上げる。


「……体は、もういいのか?」


ゾロは、兵士を斬り倒しながら言った。


「こんな時に寝てらんねぇだろ。レインには……借りがあるからな!」


辺りにいた何百もの兵士達は一斉に炎に包まれ、黒く焦げたその体は、次々に脆く崩れていった。


(すげぇ……!)


それを見て、先ほどの能力者が憤慨した様子でエ―スの前に駆け寄ってきた。


「火拳の……エ―スだな」

「なんだ、お前が遊んでくれるのか?」


向かい合った二人の能力者に、周りの兵士達は、とばっちりはごめんだ、とばかりに一斉に退いていった。


「おい! てめぇもレインちゃんの後を追え!!」

「!」


サンジがゾロの前にいた敵を蹴り飛ばしながら言った。


「……おぉ!」


ゾロは前方の敵だけを斬りつけながら道を作り、その姿はすぐに見えなくなった。


「はぁ……はぁ……?」

「どした? チョッパ―?」


何度も後ろを振り返るチョッパ―に、ウソップが気がついた。


「いや……こんな騒ぎになってるのに、なんで海軍は出てこないんだ……?」







「残念だ……交渉は決裂だな」

「なにぃ!? ……大体、なぜお前らがこんな所に!? なぜ奴らに加担する!?」

「ある女の、泣き顔を見たくない……」

「はあぁ!? 何いっとんじゃ―っ!? 撃て―っ!!!」


海軍の軍艦から、無数の砲弾が発射された。

しかし、それはどれもその海賊船には当たらず、砲弾の欠片は、すべて海の塵となっていた。


「な、何て奴らだ……!! くそ! 本部に連絡を!!」


しかし、その少将が手にした電伝虫からは、何の音も聞こえない。


「少将! コ―ドが切れています……!!」

「な、なにぃ!?」


シャンクスはその様子を遠くから眺めると、悪戯に夢中になる子供のような顔をして笑った。


「ふん……うちの狙撃手をなめるなよ」
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