Butterfly

□7.終わりの終わり
8ページ/20ページ


「とにかく、全部ぶっ飛ばせばいいんだろ?」

「だから、違うわよ!!」


このやり取りはしばらく続いている。

ルフィには作戦というものに参加する意思はないらしい。

前を行く船団の動きがにわかに止まり、びっしりと配置された隙間をゆっくり埋めていく様子が見える。


「もし騒ぎになったら、またジュ―ドが逃げるかもしれないでしょ!!」

「大丈夫だ! 逃がさねぇって!」

「……」

(ジュ―ドのような姑息な男は、ルフィはきっと苦手だろう)


もう一つ空いていた隙間にそっと船を着けた。


「ジュ―ドは……もう逃げないと思う」

「え……?」

「ほらな。暴れていいってよ!」

「レイン……?」

「とにかく、俺等はそのクソ野郎のとこまでレインちゃんが行けるようにすればいいんだよ!」


ルフィがポキポキと指を鳴らした。

戦いたくてウズウズしているようだ。

それは、他の皆も同じようだった。


「あ〜っ! なんでもいいから、行くぞっ!!」


ルフィは腕を伸ばし、飛び出していった。






母国に凱旋した兵士達は、一様にあの時の事を頭に浮かべていた。

突然現れて仲間を殲滅しようとしたあの女の事を、王になんと報告すればいいのか。

しかし、白旗を揚げて降伏したスカルトには、やはり勝利した事に違いはない。

国民が広場に集まり、帰国した兵士達を迎えていた。

兵士達は胸を撫で下ろし、誇らしい気持ちが心をゆっくりと静めていった。



しかし、突如その男は降って来た。

国民から悲鳴が上がり、広場は一斉にどよめいた。


「なんだ!? あれは……!!」


城壁に一人の男がぶら下がり、何食わぬ顔で、キョロキョロと辺りを見回している。


「おい、ジュ―ドって奴、知らねぇか?」

「!」

「なんだ貴様!! 降りろ!!」


途端に銃声が鳴り響き、集まっていた国民はまるで蜘蛛の子を散らすように逃げ惑った。

しかし、広場の門まで差し掛かると、今度は武器を手にした男女が目に止まる。


「きゃあ! 何なの!?」


先頭に立つ黄金の髪の女は、白く輝く剣を掲げ、その場にいる者全員に聞こえるような声を張り上げた。


「死にたくない者は、立ち去れ!!」

「!」

「隊長! あの女は……!!」


それは、スカルトに現れて兵士を大量に斬り殺した女に、間違いなかった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ