Butterfly

□7.終わりの終わり
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「なんだこりゃ!? ……城から砲弾が! おい、ルフィ……って、いねぇ!?」


城の両脇にある塔の城壁から、巨大な砲身が覗いている。


「味方が犠牲になっても構わねぇって事か……? ウソップ! お前、右行け!」

「あ! おい、サンジ!!」


ウソップに短い指示を出すと、サンジはすぐさま左の塔へと向かった。


「お、俺に任せんじゃねぇ〜っ!!」


ウソップは頭を低くして文句を言いながら、それでも右の塔へと駆けていった。


「きゃあ!」

「ナ、ナ、ナミ! 俺を盾にすんじゃねぇっ!」

「だって、こいつらしつこいんだもん! 何とかしてよ!! チョッパ―!」

「うわわわっ! だから、振り回すなって!」


その時、広場の後方にいた二人の耳に、港の方から微かな爆音が響く。


「え!?」

「あ! あれは……!」


二人は港の方角へと駆け出した。




「あ〜……まいったな。どこだ? ここ」


ルフィはあのまま城内に潜入していた。

しかし、上階の窓から入った為か、しばらく歩いても人の気配がしなかった。


「よし! ここに入ってみっか。失礼しま―す!」


ルフィが入った部屋は、一際豪華な装飾がなされていた。

奥に目をやると、天蓋つきのベッドが見えた。


「――誰だ……ジュ―ドか?」

「!」


どうやら、そこには人がいたようだ。


「いや、そのジュ―ドっての、捜してんだけど……おっさん、知ってるか?」

「貴様は……誰だ?」

「おれはルフィ! 海賊だ!!」

「!」


その言葉を聞いて、布越しの影が動いた。


「海賊……? 何しに来た……。わしを殺しにでも来たか?」

「おっさん、誰だ?」

「わしはアンガス……世界を滅ぼす王だ」

「!」


ルフィは驚いた。

それは、目の前にいる王の声が、放った言葉とは裏腹に今にも消え入りそうなほど弱々しかった為だった。


「……」


ルフィは近づくと、そっと布を掻き分けた。
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