Butterfly

□7.終わりの終わり
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「大佐!! 港に『赤髪』が現れたと!!」

「なんだと!?」

(海賊、『麦わらの一味』及び『火拳のエ―ス』……この上に四皇だと!? 一体どうなっておるんだ!!)

「と、とにかく、すぐ港の方に回れ!!」

「はっ!!」


その時、目の前の海が大きなしぶきを上げて突如断裂された。


「な、なんだ!!?」

「大佐! あれを!!」


ぱっくりと口を開けた海の向こうに、一隻の小さな船が見えた。

それに乗っている男は、大きな黒い刀を引っさげている。


「あれは……『鷹の目』!? この上にまた……!! って、何やっとんじゃ―ッ! お前は七武海だろうがぁぁぁ―ッ!!」


ミホ―クは、わぁわぁと喚く軍艦を鬱陶しそうに見ると、もう一度剣を大きく振った。


「違うな……俺は、海賊だ」


すると、まるで頼りない模型の船のように、軍艦はいとも簡単に斬り崩された。


「うわぁぁぁ〜ッ!! な、なんだ!! なぜこんな事をするッ!?」


ミホ―クは首を小さく傾げ、ぽつりと言った。


「……暇つぶし?」

「なんだそりゃ―ッ!!!?」







「はぁ……はぁ……」


レインは城内から出てくる大勢の敵に足留めを食らっていた。


(くそ……ジュ―ドはどこだ!?)


その時、広間の扉が少しだけ開いているのが見える。


「もらった!」

「はっ……!」


一瞬それに気を取られた隙に、剣を振り上げた兵士が襲い掛かってきた。


「……!」


しかし、その剣はレインの目前で止まった。


「まだこんなとこにいんのか……ッ早く行け!!」

「ゾロ……!」


レインは、交わる剣の間を抜け、広間の扉に体を滑り込ませた。


すると、いきなり視界が広くなり外の喧騒は格段に小さくなった。

自分の鼓動と吐息が、その大きな空間に響く。


「……」


そこは天井も奥行きも広かったが、その気品溢れる雰囲気は、どこかエバフォ―ル城を彷彿とさせた。


「似ているだろう……」

「!」


その聞き覚えがある声の主は、物陰からゆっくりと姿を現してきた。


「ジュ―ド……!」


レインはおのずと剣を構えた。

以前会った時よりも、その禍々しい雰囲気は一層増しているようにさえ感じる。

途端に、レインの右手がぞわぞわと震え出した。


「ロ―に会ったな……」

「あぁ……」


刃を向けながら、二人はじりじりと歩み寄った。


「ならば知っているか? この城の住人がかつて、お前の兄の手によって滅ぼされたという事を……」

「!?」


ここは、ジュ―ドが生まれた城という事か。

この広間は恐らく、あの悪夢のような惨劇が行われた場所だ。

その惨劇を生み出した剣は、ひりついた喉をまた潤したいとばかりに暴れだす。

早く、この男の血を吸わせろと。


「ふ……待てないようだな」

「……そのようだ」


二人が剣を合わすと、辺りの空気が広間を揺らした。


「……」


だが、レインは剣から伝わる、気味の悪くなるような違和感をひしひしと感じていた。
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