Butterfly

□6.死の外科医
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「で……、軍艦じゃ飽き足らず、なんで島まで沈めたんだよ?」

「だから、それは俺じゃねぇ!」


ゾロは言いたくもないその名を渋々告げた。

奴の凄さを皆に見せつけるような形になるのは本当に不本意で、無意識に一つ小さな声になる。


「えぇ!?」

「た、鷹の目? お前鷹の目に会ったのか!?」


予想通りの反応に、ゾロは一層気分が悪くなった。


「あぁ……。ただ、お前の兄貴をこんな目に会わしたのは、奴じゃねぇ」

「そういえば……『重罪人』を追ってるって……」

「あぁ、黒ひげって男だ」

「ん……? エ―スがいる所は何ひげだ?」

「それは白ひげ! 四皇の一人よ!!」

「シャンクスと同じかッ!?」


ナミが肯定しようと口を開きかけた時、ゾロが声を張り上げた。


「うるせぇ! てめぇら、関係ない話すんじゃねぇ!!」

「……」

「スミマセンでした……」


聞きたくない名前ばかりが飛び交い、ゾロの不機嫌は頂点に達した。

あの島をスタンレーと抜け出した後すぐに鷹の目を追おうと考えたが、重傷のエースをそのままにする訳にもいかず、ゾロは一旦プレストンに戻って自分を捜していた仲間と合流していた。


「おい、エロ」

「……」


エロの下には既に『剣士』もつかない。

てめぇに言われたかねぇ、と思いつつ、言葉に出すのも鬱陶しいと、ゾロは目だけでサンジに答えた。


「てめぇ……まだレインちゃんを追う気なのか?」

「……だったらなんだ」


サンジは息をつくと、少々呆れ気味に言った。


「……意味あんのか?」

「……!」


その言葉が意味するものに、ゾロは痛い所をつかれた気持ちになった。

確かに。

今自分がしている事はなんなのだろう。

女を追い回し、一味にも迷惑をかけているのに、結局の所レインの居所はまたわからなくなってしまった。

そして、例えそれがわかった所でレインが自分の物にできるとも限らないのだ。


「……」

「なぁ……。おれら一緒に行っちゃだめなのか?」


チョッパ―が少し寂しそうにゾロを見上げた。


「……悪いな、チョッパ―。もうちっと待っててくれ。カタつけたら必ず戻る」

「おい! まだそんな意地張ってんのか!」

「……」


ゾロは立ち上がり、仲間に背を向けた。


「ゾロ……」

「……」

「……ちょっと、よろしいですか?」


その時、しばらく事の成り行きを黙って見ていたスタンレ―が口を開いた。


「なんだおっさん、いたのか?」

「はい、かなり前から……。一度皆さんにお話しときたいのです。あの男、ジュ―ドについて……」

「!」

「なんかわかったのか……?」


スタンレ―は重々しい表情を崩さず、静かに語り始めた。


「ジュ―ドの……過去についてです。やつは、ある王国で生まれた……」
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