Butterfly

□4.赤髪の
9ページ/19ページ


「……お前のように、だと……?」


ジュ―ドの顔がゆっくりと歪みだした。

最初に見た時の精悍な顔つきは次第に崩れていく。


「そうだ……。レインは今でも私を想っている。……狂おしいほどにな!」

「何……言ってんだてめぇ……!?」


ゾロの様子を面白そうに見下ろしながら、ジュ―ドは尚も続けた。


「だから剣士と寝るのだ。鷹の目や、貴様や……赤髪のシャンクスとな!」

「なっ!?」


この男はレインについて一体どこまで知っているのか、ゾロは正直不気味だった。


「シャンクス……だと?」

「おぉ、知らなかったか? そいつは口が滑ったな」


ジュ―ドはわざとらしく驚いてみせた。

そして座り込むゾロに剣をそっと突き出すと、更にその顔を歪ませた。


「あの女を、支配したいと思ったか」

「! ……」

「全てが欲しいと、願ったか」

(なんだ……? こいつの声はまるで、脳に直接響いてくるみてぇだ……)


目の前のジュ―ドが少し朧気に映る。


「だが、手に入らん……。レインは、私の物だ!」

「!」


ジュ―ドはゾロの眼前にある剣を素早く突き立てようとした。

しかし、剣が届くより先にゾロの姿は瞬時に消え失せる。


「なに!?」

「まったくごちゃごちゃと……女みてぇによく喋る……」


ジュ―ドが声の方向を見上げると、いつの間にか家屋の屋根に飛び移っていたゾロの姿があった。


(まさか……!? いつの間に!)

「相手にされてないのは、てめぇの方じゃねぇか?」


ゾロは呆れたように見下ろすと、手拭いを頭に巻いた。


「安心しろ……未来の大剣豪は俺だ。だから今俺に負けたって全然恥ずかしくないぜ……? ジュ―ドさんよ!」

「!!」


ゾロは上から素早く飛び降り、その勢いを殺さぬままジュ―ドを斬った。


「うぐっ……!!」

(なんだ!? 先ほどとは別人のようだ!)


今度はジュ―ドが吹き飛ばされた。


「知らなかったな……」

「……な……に!?」


自分が女の事で力が増すとは、とゾロは驚いた。

そして、どこぞのコックじゃあるまいし、と付け加えた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ