Butterfly
□4.赤髪の
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シャンクスは幹部達と向かい合っていたが、突如異様な気配を感じると、部屋を飛び出した。
「何事だ!?」
集まるクルーを掻き分け、己が目にしたものに愕然とする。
何食わぬ顔で立ちつくすレインの足元には、武器を手にした三人もの男達が転がっている。
勿論、レインは丸腰のままだった。
(これは……!? しかし、覇気は感じなかった。もっと何か別の……)
「……」
騒然となる人だかりを尻目に、レインはどこか虚ろなままその場を後にする。
「レイン!」
先ほどの部屋に入るとドアを閉め切らない内にシャンクスが飛び込んできた。
「何か非礼があったようだ……。すまなかった」
「いや……」
今のレインに変な気配はまったく感じられない。
シャンクスは一人眉をひそめた。
「レイン……。この船に乗るのはいいが……、ここは見ての通り、男だけの海賊団だ。女が一人というのは……」
なにやら女であるレインの身を案じてくれているようだ。
そんなシャンクスの様子は少し可笑しかった。
「じゃあ……、『見ての通り』大丈夫だ!」
レインはシャンクスに微笑んでみせた。
「!」
不意を突かれたその美しい微笑みに、シャンクスの顔にもつい笑みが零れた。
「ふ……お前は、本当に面白い」
海軍大佐は電話にひたすら頭を下げていた。
「はい! はい! ……それでは……」
受話器を置き大きく息をつくと、がっくりと項垂れ疲労をあらわにした。
(しかし、赤髪とは……これでは下手に手が出せん! どうしたものか……)
「大佐!!」
「……今度はなんだ?」
「また海賊です!」
「またかーっ!? なんで今日に限って次々と……!!」
ぶつぶつ言いながら望遠鏡を覗き込むと、そこにはまだ記憶に新しい海賊船が見えた。
「あいつらは……!」
「こちらに真っ直ぐ向かってきます!」
「おい……おいおいお〜いっ!!」
「ぶ、ぶつかる〜っ!! !」
その日、その不運な軍艦は、一隻の海賊船によって沈められた。
その海賊船には、麦わら帽子をかぶったドクロが描かれていたという。