Butterfly
□4.赤髪の
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レインは夜の海を眺めながら、昼間のスタンレ―の話を思い出していた。
(紋章のある物……やはり、この剣が?)
ビリアが探しているのは財宝らしかったが、そんな話は父の口からも聞いた事がなかった。
城内にもそんな物は見当たらなかった。
「……」
レインは剣を鞘から少し出した。
美しい紋章がその姿を現す。
「おい……何してんだ?」
気付くと、自分の剣に顔を近づけているレインを、シャンクスが笑いながら見ていた。
「……」
なんだかシャンクスには笑われてばかりだ。
シャンクスはレインに近づくと、マントをひるがえした。
暖かい腕と共にすっぽりと包まれる。
「冷えないか? ……お前はいつも海を見てるな」
「……海は、繋がってるから」
レインはその腕に自分の手を添えた。
シャンクスの体温が心地よくて、いつまでもこうしていたくなる。
この人の前では、どうも自分は普通の娘に戻ってしまうようだ。
「……本当に、そうならよかった」
「ん……?」
シャンクスは暗い海を見つめるレインを優しく抱き寄せた。
まだ歳は若いというのに、レインは笑顔より思い詰めたような顔をする方がはるかに多い事を、シャンクスは気にかけていた。
「レイン……」
「え……?」
シャンクスは唇でレインの頬に触れた。
額にも髪にも耳たぶにも。
どこと言わず、キスをした。
それはまるで恋人同士が戯れているかのように、優しくレインに降ってきた。
「シャンクス……くすぐったい……」
レインは少し照れたように笑い、それを見てシャンクスもすっと目を細める。
「笑ってろ……レイン」
「え?」
「辛い時でも。……お前の国の人間がそうだったように」
「……シャンクス……」
シャンクスは最後に、そっと唇を重ねた。