Butterfly

□4.赤髪の
13ページ/19ページ


「あんた片腕吹っ飛ばされても生きてたのか!? すごいな!」

「いや、片腕はあんたもだろ……」


レインはスタンレ―を連れ、船に戻った。

みんなと話すスタンレ―は以前とまるで変わりないが、レインはもう一度その顔をまじまじと見ずにはいられない。


「そんな……幽霊を見るような目で見ないで下さい。私の方こそまだ信じられませんが……レイン様、よくぞご無事で……!」


レインの無事を喜ぶのはこれで何度目だろうか。

しかし、スタンレ―は何度言っても言い足りないほどであった。


(レイン様……本当によかった)


「しかし、他の仲間は残念だったな……」

「えぇ……。あの時の爆破で隠し扉が崩れ、残った同志が私を……」

「……」


レインとスタンレ―は同時に目を伏せた。


「……なんにしろ、レイン! お前は一人じゃない。……なっ?」


俯いていたレインを励ますように、シャンクスは微笑んだ。


「……あぁ」


こんな時のシャンクスの笑顔は、落ちかけたレインの心を本当に拾い上げてくれるようだった。

スタンレ―もそんなレインの様子を見て安心したように微笑んだ。


「そういえば……最近ビザの町で海賊が騒ぎを起こしたと聞きましたが、もしや?」

「ビザ……? いや、それは俺等じゃないな」

「……海賊?」


レインの頭に一人の男がよぎる。


「レイン様?」


少し考え込んだレインがふと顔を上げた。


「シャンクス……麦わら帽子をかぶった男を知っているか?」

「!」


その時、周りにいた何人かと同時に、シャンクスは驚いた顔をした。


「海賊か!?」

「あぁ……ルフィという男だ」

「ルフィ! 知ってるのか!?」


レインは質問したつもりが答えるはめになり、少し戸惑いながら口を開いた。


「海軍の軍艦に乗るまで……少しの間だが、一緒だった……」


その時、シャンクスの目はとても嬉しそうに輝いた。


「そうか! ルフィの船に……!」

「ふっ……妙な縁だな」


みんな当時を振り返るように視線を交わすと懐かしく微笑んだ。


「レイン様は……ビザの一件は、その海賊の仕業だと?」

「いや……わからない」

(約束を……守れなかったからな)


怒っているナミの顔が浮かぶ。

しかし、レインはその海賊が本当にルフィ達ならいいと思った。

あの後からずっと、みんなの安否が気掛かりだったのだ。

何にせよ生きているなら、と。


(しかし……ビザとは? もしや、ジュ―ドの行方を追っているのでは………)

「……」


レインの胸を次第に不安が募った。


「……行くか? レイン」


レインの不安を見透かすように、シャンクスは微笑んだ。


「シャンクス……」

「大頭はレインに甘いなあ!」

「あぁ! メガ甘だ!」

「いや、ギガ甘だ!」


いつものように笑い声に包まれながら、船はマスタ王国へと出航した。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ