Butterfly
□4.赤髪の
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「あんた片腕吹っ飛ばされても生きてたのか!? すごいな!」
「いや、片腕はあんたもだろ……」
レインはスタンレ―を連れ、船に戻った。
みんなと話すスタンレ―は以前とまるで変わりないが、レインはもう一度その顔をまじまじと見ずにはいられない。
「そんな……幽霊を見るような目で見ないで下さい。私の方こそまだ信じられませんが……レイン様、よくぞご無事で……!」
レインの無事を喜ぶのはこれで何度目だろうか。
しかし、スタンレ―は何度言っても言い足りないほどであった。
(レイン様……本当によかった)
「しかし、他の仲間は残念だったな……」
「えぇ……。あの時の爆破で隠し扉が崩れ、残った同志が私を……」
「……」
レインとスタンレ―は同時に目を伏せた。
「……なんにしろ、レイン! お前は一人じゃない。……なっ?」
俯いていたレインを励ますように、シャンクスは微笑んだ。
「……あぁ」
こんな時のシャンクスの笑顔は、落ちかけたレインの心を本当に拾い上げてくれるようだった。
スタンレ―もそんなレインの様子を見て安心したように微笑んだ。
「そういえば……最近ビザの町で海賊が騒ぎを起こしたと聞きましたが、もしや?」
「ビザ……? いや、それは俺等じゃないな」
「……海賊?」
レインの頭に一人の男がよぎる。
「レイン様?」
少し考え込んだレインがふと顔を上げた。
「シャンクス……麦わら帽子をかぶった男を知っているか?」
「!」
その時、周りにいた何人かと同時に、シャンクスは驚いた顔をした。
「海賊か!?」
「あぁ……ルフィという男だ」
「ルフィ! 知ってるのか!?」
レインは質問したつもりが答えるはめになり、少し戸惑いながら口を開いた。
「海軍の軍艦に乗るまで……少しの間だが、一緒だった……」
その時、シャンクスの目はとても嬉しそうに輝いた。
「そうか! ルフィの船に……!」
「ふっ……妙な縁だな」
みんな当時を振り返るように視線を交わすと懐かしく微笑んだ。
「レイン様は……ビザの一件は、その海賊の仕業だと?」
「いや……わからない」
(約束を……守れなかったからな)
怒っているナミの顔が浮かぶ。
しかし、レインはその海賊が本当にルフィ達ならいいと思った。
あの後からずっと、みんなの安否が気掛かりだったのだ。
何にせよ生きているなら、と。
(しかし……ビザとは? もしや、ジュ―ドの行方を追っているのでは………)
「……」
レインの胸を次第に不安が募った。
「……行くか? レイン」
レインの不安を見透かすように、シャンクスは微笑んだ。
「シャンクス……」
「大頭はレインに甘いなあ!」
「あぁ! メガ甘だ!」
「いや、ギガ甘だ!」
いつものように笑い声に包まれながら、船はマスタ王国へと出航した。