Butterfly

□4.赤髪の
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「はぁ……はぁ……ククッ……」


しかし、ジュ―ドはまだいやらしい笑いを止めようとはしなかった。


「なんだ……?」


その時、複数の人間の足音がばたばたと忙しない音を立てながら迫ってくるのが聞こえた。


「こっちです! 早く!」

「海賊め! ジュ―ド様から離れろ!!」


どうやら先ほどの店主が引き連れてきた海兵らしき男達が十人ほど向かってきているようだ。


「!」

「くくく……所詮は札付き! 海賊が一庶民に対して暴力を振るったらいかんだろう……?」

「てめぇ……! 最初からこのつもりで……!?」


ジュ―ドは答えるかわりにその場から飛び退いた。


「さて、命拾いしたのはどっちだ?」

「!」


ジュ―ドが離れたのをきっかけに、海兵達はゾロに発砲してきた。


「ち……!」


ゾロは銃弾の雨に晒されながら、ジュ―ドの顔を最後に焼きつけた。

狂気に歪んでいたその顔は、駆けつけた海兵達の前でまた元の人気者の顔に戻っている。


(命拾いか……)


確かに、今のゾロには常にジュ―ドと渡り合える程の力はない。

あの気味の悪い気配は、肌にベッタリと染み付くようだ。

角を曲がって通りに出ると、見覚えのある長い鼻が出迎えた。


「お! ゾロ〜っ! お前なんで走って……って、なに海兵に追われとんじゃ―っ!?」

「きゃあっ! 撃ってきた!」

「まったく、お前はすぐトラブルを起こすよな〜!!」

「って、お前が言うな―っ!!!」


追っ手から逃げながら、ふと仲間の顔を見る。

みんな文句を言いながらもどこか楽しそうだ。


あの夜、嬉し涙を流しながら笑ったレイン。




(レイン……お前は今……笑っているか?)
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