Butterfly

□4.赤髪の
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(しかし、それだけ今の俺の心が乱れてるって事だ)


己の腕を支える絶対的な心力を容易く乱れさせるとは、つくづく恐ろしい女だ、とゾロは思った。

しかし、レインから感じるものと、この男から感じるものがどこか似ているような気がしないでもない。


「おい! お前は一体何の為に……」


ゾロが言いかけたその時、ジュ―ドから嫌な気配が立ち昇った。


「!」


ゾロは振り下ろされたジュ―ドの剣を咄嗟に受け止めたにもかかわらず、その身からは斬られた後のように血が噴き出した。


「な……に……!?」


自分の体から飛び散る血液越しに、にやりと笑うジュ―ドを見ながらゾロはその場に倒れ込んだ。


「貴様は今、油断なんかしていなかった。……そうだろ?」

「……」


確かにそうだった。


「へっ……また自慢話かよ……。年は取りたくねぇなぁ!」


ゾロは熱く流れる血の細流を感じながらも立ち上がった。


「なかなかタフだな。未来の大剣豪というのもあながち嘘ではないようだ……。しかし!」

「!」


ジュ―ドはその顔を狂気に歪ませながら、ゾロに猛攻を仕掛けてきた。


「ははは! もがけ! 己の弱さにな!!」


まるでもっと血が見たくて堪らないといった風に執拗に斬りつけてくる。

ジュ―ドの剣をすべて受けている筈の体から細かく血が吹き出していった。


「くっ……!」

(なんだこの嫌な気は……! 受けるだけで圧迫されるような………)

「……レインはまた私に会いに来る。その時は心も体も縛りつけ、一生私の傍においてやろう……。ふふ……ははは!!」

「!」


その時、忙しく動いていたジュ―ドの剣が止まった。


「……!」


それはゾロの刀によって、僅かに動く事もままならない。


(まさか……私の剣を止めるとは!?)

「はぁ……おっさん、勘違いしてんじゃねぇぞ……はぁ……」

ゾロはそのままジュ―ドの剣をぎりぎりと押し戻す。


「レインはお前のもんじゃねぇ……!!」


見えない力がぶつかり合うように、それは弾けた。

しかし、飛ばされたのはジュ―ドの方であった。


「ぐわぁぁっ!!」


そして地面に転がるジュ―ドに、血にまみれたゾロの刀が向けられる。


「この……俺のもんだ」
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