Butterfly

□3.別離
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その時ゾロに向いていた照準は、ピピという機械音をたてナミに向いた。


「危ねぇ! ナミ……ッ!!」

「!」


一筋の閃光と共にレ―ザ―は発射され、何かを貫いて爆発した。


「ナミ―っ!!」

「ナミさ―んっ!!」


しかし、巻き上がった砂と白煙が去ると、そこにナミの姿はなかった。


「!」

「レイン……!!」

「くっ……」


爆発した場所より少し横っかわでナミに覆い被さるように、左肩を血に染めたレインが倒れていた。

肩からどくどくと伝った血は、指先から大地に広がっている。


「馬鹿もん! どこにあてておる!!」

「す、すいません!」

(はぁ〜……またビリア王になんと言われるか……)


パシフィスタの横の海兵が頭を慌てて下げている。


「! ……てめぇ!!」


ゾロが再度パシフィスタに向かっていく。


「だめだゾロ……ッ!!」

「お〜い! 油断すんなよ〜」


その時、しばらく成り行きを見守っていた大佐が部下に銃を構えさせた。


「!」

「貴様等海賊に正々堂々と戦う理由はない。撃て!! 王女にあてるな!!」


レインが一味から離れたのをいい事に、一斉に発射される弾丸。

しかしサンジが後方から叫んだ。


「どけ! マリモ!!」


サンジはパンパンに膨らんだルフィを蹴り上げた。


「うわ―っ! なんだこいつ!?」


ルフィの体に弾丸が一度めり込むと、それらは一斉に弾き出された。


「効か―んっ!!」

「!!」


ゾロはその様子をちらと目にすると、パシフィスタの頭上高く飛び上がった。

その動きにぴったりと合わせながら、パシフィスタはゾロに向けて開口した。


「外は硬いが……ここはどうだ!?」


ゾロはぱっくりと開いた口めがけ、刀を一気に突き立てた。


「!」


その刀はめりめりと刺さったが、しかしその身を破壊するまでには至らなかった。

刀を咥え込んだまま、その口腔が光を放つ。


(刀が抜けねぇ……!?)

「ゾロ!」

「あんのバカ……!!」


その時、パシフィスタの体勢が微動に崩れた。


「!」


その巨体を支える膝裏に、チョッパ―が思いきり体当たりしたようだ。


「うおっ! 抜けた……!」


その隙にゾロの刀はやっと抜け、パシフィスタから飛び退いた。


「くらえ! ロボ野郎!!」


ウソップが開けたままの口腔に何かを放つと、サンジが回転しながら飛び上がる。


「いい加減閉じろ!! その口ぃっ!!」


回転で勢いを増した踵落としが頭部に炸裂し、その拍子に口が閉じる。


「!!」


一瞬体が光ったと思うと、中から破裂したような音が漏れ、口や鼻から煙を立ち昇らせた。


「やったか!?」


しかし、パシフィスタはぎこちなく腕を持ち上げると、今度は掌をかざした。


「させねぇ!!」


まさに光を放つ瞬間、ゾロが両腕を振り払うように斬りつけた。


「!」


それは硬い身を斬りおとすには至らないが、腕の向きを変えるには十分な力であった。


「ぎゃあぁぁ〜っ!!」

「こっちきた〜っ!!」


にやにやと静観していた海軍の群れにそれは発射され、交差したレ―ザ―が大爆発を起こす。


「うわぁぁぁ〜っ!!」
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