Butterfly

□3.別離
2ページ/8ページ



「ゾロ……! 放せッ!!」


部屋に入った途端、それまでびくともしなかったゾロの手が緩んだ。

レインは振りほどくと、ゾロを睨みつけた。


「……勘違いするな! 私は誰の物でもない!」

「……」


ゾロは不機嫌な顔を崩さず、ずいっとレインに寄ると、


「いいや」


思いきり衣服を引きちぎった。


「!?」


驚くレインの上半身が突如露わになる。


「お前は俺の物だ」

「……なっ!」


思わず体を隠そうとしたレインの両手を掴むと、ゾロはそのまま押さえ付けた。


「……」


ゾロはレインの傷痕をじっくりと目で追い、下から上へと舌を這わした。


「……ッ!」


レインは体を強張らせ、押さえ付けられた両手に力を込める。


「やめろ……!」

「だめだ」


今度は唇で執拗に愛撫する。

薄桃色のそれは、次第に朱に染まっていった。

レインは、眠っていた狂気がひょっこり顔を出すのを必死で堪えた。


お前は俺の物。


ジュ―ドはそう言って、烙印を押すかのごとく傷をつけた。


「ッ……!」


レインの体は細かく震え、天井を見詰めたまま目を見開いた。


「や……めろ……ッ!!」

「だめだ!!」


胸の所まで到達すると、ゾロはレインを上目遣いで睨みつけた。


「……記憶を、すり替えろ」

「!?」


レインから過去の話を聞いて以来、ゾロは不愉快極まりなかった。

他の男から付けられた傷。

その傷を癒した鷹の目。

それが、サンジに触れるレインの姿を目の当たりにして激昂したのだった。

ゾロは乳房を鷲掴みにすると、その先端を強く吸った。


「ア……ッ!」


レインの抵抗する力が少し弱まった隙を見て、一気に床に押し倒す。

まるで取っ組み合いでもしてるかのように縺れながら倒れると、今度は窒息させるかのようにレインの唇を覆った。


「……!」


レインの過去を奪うようなキス。

ゾロに全て取られ、支配される。

だったらどんなに幸せだろう。

レインはゾロにゆっくりと腕を回した。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ