Butterfly
□2.鷹の目の男
5ページ/10ページ
騎士団長のスタンレ―は、二年前にジュ―ドによって重傷を負わされたが、ノウマ国の反対派に救われ一命を取り留めた。
それから身を潜め、反対派を中心に密かに同志を募っていた。
それほどに今のノウマ国というのは強大なものへと姿を変えていた。
積極的に戦争をおこし、領土を増やし続けるバルカンの背後には、ジュ―ドの影があるのに他ならない。
「なかなか尻尾をつかませなかったが……なぜここにきて?」
「ヤツはどうやら他の国とも繋がりがあるようです」
「何をするつもりかわからんが……よくない事に違いない」
あの男の異常さは身に染みてよくわかっている。
エバフォ―ル城内の人間を惨殺するその様は、まさに鬼神のごとくであった。
レインの船が見えなくなると、ミホ―クは一人の男に会いに行った。
「久しいな。何か用か……」
カウンタ―に腰をかけると、用意してあったグラスに酒を注ぎ口をつける。
「よう! 最近女と暮らしてんだって? うつつ抜かして腕鈍ったんじゃないか?」
「……試すか?」
ミホ―クの目がぎらりと光ったが、その男は笑い飛ばした。
「ははっ! やんね―よ! お前との勝負は時間がかかるだけだ」
グラスに口をつけると、その赤い髪の男は少し真面目な顔で口を開いた。
「……最近、インペルダウンから密かに一人の男が解放された」
「なに?」
「お前が……七武海に入るきっかけになった男だ」