Butterfly

□1.終わりの始まり
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「我らの軍艦が三隻も沈められたと……?」

「えぇ……。それも女一人にです」

「……麦わらの一味か!?」

「いえ、それが調べたところによると……」


そう言うと、中将は一枚の写真を取り出した。

そこには愛らしく微笑んでいる一人の少女が写っていた。


「ベアトリー・レイン。三年前に崩壊したクライズメインの王女です」


「なんだと……!? どういう事だ……?」


その時電伝虫のベルが響く。


「はい……えぇ。はい……! わかりました。それでは……」


元帥は受話器を慎重に置くと、歯を一度噛み締めた。


「おい……軍艦を召集しろ」








「おい、待て……。まだする気か?」

「何度でも……」

「もう、やめとけ……」


ゾロはレインを引き離し、呆れたようにため息をついた。


「情けないな……未来の大剣豪が」


レインは長い髪の毛を鬱陶しそうにかき上げると、ゾロの傷痕を撫でるように指を這わした。


「ミホ―クか……?」

「……あぁ。そうだ」

「ふっ……命があって何よりだな……」


レインは笑いを浮かべ、傷痕に口づけた。


「……」


ゾロは無意識のうちにレインの傷痕を目で追った。

その視線に気付くと、


「これは……」


と言いかけ、レインは少し遠い目をした。


「言うな」


ゾロは傷痕に触れたレインの手を握った。


「知りたいだろ……?」

「……お前の事はな」


レインはゾロの腕にころんと頭を乗せると、静かに口を開いた。


「これは……今追っている男、ジュ―ドにつけられた……」

「!」

「ジュ―ドは家臣であり、剣の師匠であり……私の……」

「……」

「クライズメインは戦争が行われていても明るく強くあろうとする国だった。……あの日までは」
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