Butterfly

□1.終わりの始まり
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「やっぱり折れてるな……。レイン、もう無茶すんなよ!」

「あぁ……わかった」


あの後、レインはすぐチョッパ―に捕まり、治療を受けさせられていた。


「あと包帯も取るなよ……って、言ってるそばから取るな!!」

「動きにくい……」

(こいつ……女ゾロだ!)


レインは治療室を出ると、展望台に向かった。

いつでも海を見ていたかったからだ。




ゾロは修行に汗を流していた。

今日見た光景が目に焼きついて離れない。


(あの女の強さは……鷹の目と関係があるのか……?)


あの時の真っ二つになったガレオン船は、未だにゾロの胸深くに突き刺さっていた。



その時、ドアが開く気配がして目だけそちらに向けたが、そこには今一番見たくない顔が覗いていた。

レインだ。

しかし、レインも思いがけなかったのか、ゾロを見て目を丸くしている。


「ち……」


ゾロはあからさまに不機嫌な顔をした。


「……」


レインはゾロのそんな様子を、少し面白そうに眺めていた。


「……なんだ?」

「別に……」


そう言うと、レインは展望台に向かおうとした。


「待て……」

「……」


レインは足を止めた。


「お前の剣は鷹の目と関係があるのか?」

「……」


予想していた質問だったのか、レインの顔に驚きの色はなかった。

しかし何も言わぬままゾロの前を通り過ぎようとする。


「答えろ!」


焦れたようにゾロが立ち上がった。


「ふっ……なぜだ? 私に興味が湧いたか……」


ゾロの様子を楽しむようにレインは薄い笑みを浮かべて言った。


「はぐらかしてんじゃねぇ!」


ゾロは思わずレインの腕を掴んだ。


「……!」


その時肋骨に痛みが走り、レインは苦痛に顔を歪めた。


「! ……悪ぃ! 大丈夫か……?」


ゾロはさっと手を離し、顔を覗いた。

二人の視線が交差する。


「……」


しばらく見詰めたままのゾロに、レインは苦痛の色を残しながらも笑いを浮かべた。


「くっ……お前も……寝たくなったか?」

「あ!?」


レインは、女扱いするなと言う割に自分が男からどう見られているかわかっているようだった。


「バカ言ってんじゃねぇ! コックと一緒にすんな!」


ゾロは横を向いた。


「では……あっちと寝てくるか」


事も無げにそう言うと、レインはドアの方に歩き出そうとした。


「おい待っ……!」


ゾロは驚いて止めようと手を伸ばすが、レインはそれをかわすと、首に腕を回し口づけた。


「!」


ゾロの唇を愛撫するようにキスをする。


(くそ……!)


ゾロはレインを抱き締めると、唇を貪った。

二人だけの空間に、しばらく唇を交わす音だけが響く。


「怖いんだろう……? ……私の事が……」


レインは吐息を漏らす合間に囁いた。


「……黙ってろ」


ゾロは、レインがもう喋れないように更に深く口を塞いだ。
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