Butterfly
□1.終わりの始まり
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レインはジュ―ドを連れ、マリ―ジョアを訪れていた。
病に伏した父のかわりにレヴェリ―に参加するためだったが、まったく気乗りはしなかった。
「まったく……つまらん事をごちゃごちゃと。もっと他に考えねばならん事があるというのに……。付き合ってはおれんな!」
「レイン様……声が大きいですぞ……」
そこに、バルカンが大勢のお供を連れて現れた。
「レイン姫! 相変わらず御美しい!」
「……」
「なぜ私のプロポ―ズを受けないのだ? 我が妃になれば、今以上の贅沢をさせてやれるというのに……」
(こいつ、いけしゃあしゃあと……大臣がいなければ何もできない阿呆が……!)
「いいえ。バルカン様……私などあなた様にはもったいのうございます。それに私には贅沢よりも、今の平和な国を守る事の方が大事ですので。それでは御機嫌よう……」
レインはすらすらと嫌味を込めた社交辞令のような言葉を並べると、さっさとその場を立ち去った。
「レイン姫〜! 待て! この……くそっ!」
「……」
悔しそうに地団駄を踏むバルカンに、ジュ―ドは深く頭を下げた。
レインはこんな所から早く出たかった。
足早に通り過ぎようとした時、ある男が視界に飛び込んでくる。
その男は背に大きな刀剣を携えていた。
(あれは……黒刀……?)
すれ違いざまに鷹のような鋭い瞳と視線が交差する。
「……」
その時、ジュ―ドが追いかけてきた。
「レイン様! お待ちください……!」
「ジュ―ド! 早く城に戻るぞ!」
「まったく……堪え性がないんだから……」
お構いなしに歩くレインに、ジュ―ドは呆れたようにため息をついた。