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□ 5.終わらない夢
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ブルックはウソップとチョッパーを起こさぬよう部屋を出た。

ラウンジのドアをそっと開けると、そこには一人で酒を注ぐフランキーの姿があった。


「フランキーさん……」

「おう……」


二人は並んで座って酒を注ぎあった。


「一人で珍しいなブルック」

「フランキーさんこそ……」


二人はその時同じ事を思っていた。


(だって……誰もいないんだもん……)









ロビンは島伝いに来れる森へと歩いていた。

辺りは薄暗かったが、町のネオンが反射してなんとも幻想的な雰囲気を醸し出している。


「!」


森の入り口に辿り着くと、大きな岩に体を持たれかけているゾロの姿があった。

その不機嫌な様子に、ついこちらの表情は緩んでしまう。


「よかった……。無事ついたのね」


ロビンに目だけ向けると、ゾロは不機嫌なまま足元に置いてある物を差し出す。


「おい……これお前だろ?」


それは矢印が書いてある木片だった。

もちろんゾロが迷わないように無数にロビンが用意していたものだ。


「うふふっ……まさか全部集めたの?」

「ふざけんなっ! 俺をいちいち迷子扱いしやがって!!!」

「でもちゃんと着けたでしょ?」


ロビンは楽しそうに微笑むと、ゾロを森の中へと導いた。


「約束でしょ? ちゃんとついて来て……」

「……けっ。わかったよ」


しぶしぶついてくるゾロを見て、ロビンはまた可笑しそうに微笑んだ。







サンジはなかなか帰って来ないナミの身を案じ、夜の町に来ていた。


(こんな小さい町なのになんで見つからねぇんだ? ……まさかナミさんの身に何か……)

「……サンジっ」


そう考えていた時に、いきなり横から声をかけられ立ち止まる。

声の方向に目を移すと、横の路地に昨夜を共にした美しい女の姿が見えた。


「デイジー……驚いたな……」

「やっぱりまた会えたわね……。どう? これから一緒に食事でも」


それはとても魅力的な誘いだったが、今のサンジには食事を楽しむ余裕などなかった。


「いや……ちょっと急いでるんだ。悪い」


サンジはそれだけ言って立ち去ろうとした。

しかし、デイジーは、昨夜あれほどクールだったサンジが焦燥していることが不愉快でならなかった。


「……探し物かしら?」

「ん? ……まぁな」

「オレンジの髪の可愛い子とか……?」

「!?」


サンジが驚いて振り向くと、デイジーはすでに路地の奥へと姿を消そうとしているところだった。


「デイジー! 何か知ってるのか!?」


慌てて追いかけると、振り向きざまに微笑んでくる。


「こっちよ……サンジ」


導かれるままついていった先には、今朝眺めた屋敷があった。

しかし、その古びた巨大な門は今朝とは様子が違う。

それは、まるで誰かを一旦呑み込んだ後、まだ足りないとでも催促するように、ぱっくりと開いていたのだ。
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