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□ 5.終わらない夢
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ナミは部屋に戻った。

なるべく音がしないようにドアを開けたが、ロビンはいなかった。

ナミはロビンの身を気にしつつも急いで服を着替える。


(あの男はサンジくんが今夜倒れるって言った……。きっとそれまでに何かするはず!)


もう日は暮れかかっていて、時間はあまりないように感じた。

バタバタと部屋を出た時に、ナミは危うく誰かとぶつかりそうになる。


「お! ナミ。どっか行くのか?」


ルフィだった。


「うん……」


ナミは、あの男の事をルフィに言うべきか迷った。


「ロビンいるか?」

「いない……あ、そっか。一緒に行くのね?」

「あぁ。まぁいいや! おれ一人で行ってくる。じゃあな!」

「……」


ナミは結局何も言えずルフィの背中を見送った。


(……とにかく急がなきゃ!)


ナミは夕焼けの町へと一人、駆け出した。







「おいサンジ! 今日飯いいや。ハンコックん所で喰ってくる」

「ん? そうか……」


ラウンジを出ていきながら、ルフィは一度歩みを止めた。


「そういやナミ、どこ行ったんだ?」

「ナミさんがどうした!?」


サンジはその名前に即座に反応した。


「知らねぇ。なんか急いでたぞ? じゃあ行ってくる!」

「……」


サンジの頭に涙ぐんだナミの顔がちらついた。

その時、フランキーが帰ってきた。


「フランキー! ナミさんを見なかったか?」

「あぁ。今町に降りてったぞ?」

「町に? ……そうか」










ロビンは図書室にいた。


「これは……やはり」


その手にした本を閉じると、目を伏せる。


(……お母さん)


そのまま図書室を出ると、デッキに出るルフィが見えた。


「ゾロ……後でね」


ロビンは後ろを歩くゾロを振り返って微笑んだ。


「わかった……」


二人はそこで別れた。
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