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□ 5.終わらない夢
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「ねぇ? サンジくん……」

「んん……?」


サンジは泡のついたスポンジで、傷に触れないように優しくナミの体を洗っていた。


「ロビンの子の父親って……」

「……」


その時、サンジの手が一瞬止まったのをナミは見逃さなかった。


(やっぱり……)

「……それが誰にせよ、これからの事はロビンちゃんが決めることだ」


サンジはそれだけ言うと、そっと湯をかけて泡を流した。


「……」


サンジはロビンが攫われた一件を思い出していた。

今までは気にも止めていなかったが、ロビンの妊娠がわかってから、ちょくちょくその時の事が頭の隅で引っかかるようになっている。


(あの時何があってヤツとそうなったのかはわからねぇが……)

「……」


そして、あの時初めてキスして、泣きながら怒っていたナミの顔も思い出した。


「ナミさん……」

「ん?」


サンジはナミを抱き締めた。


「好きだよ……」


ナミもゆっくり腕を回すと、


「あたしもよ……。だからね、サンジくん……」


思い切りサンジの背中に爪を立てた。


「浮気、したら、100億、ベリー、だからね……!」

「う・ぎ・ぎぃぃ〜……!!」


サンジは痛みに仰け反った。


「ふふふっ!」

「は……はは……」


ひとしきり笑った後、今度はそっと抱き合い、二人は唇を重ねた。















「よっし! じゃあ女ヶ島に向けて出航〜!!」


翌日、それぞれの想いを抱えて船は出航した。

船が安定したのを確認すると、ナミはデッキで寝ているゾロにそっと近づいた。


「ねぇゾロ?」

「あぁ……? なんだ。俺は今眠ぃ……」


ゾロはかなり眠そうだったが、ナミはお構いなしに続けた。


「ロビンの子の父親って一体誰なのかしらねぇ?」

「っ……!」

「だってさぁ、ひどいと思わない!? ロビン一人放ったらかしてさ。きっと自分は好きな事やるのよ?」

「……」


ゾロの顔つきが神妙になった。

その顔をちらりと見ると、ナミは声の調子を変えずにさらに続けた。


「まぁ、ロビンが納得してるみたいだし……。なんか幸せそうだからいいけど!」

「……あ……あぁ」


そして、歩きながらゾロに振り返ると、


「あ! そうそう。この前貸した一万ベリーだけど……」


飛びきりの悪い笑顔でこう言った。


「……十倍返しでよろしく」

「なっ……!?」


そして、口元に指を立てて微笑んだ。


(口止め料よ! ふふ……)


ゾロは呆然としながら、


(ナミ金融……恐るべし……)


と、恐怖に身を硬くした。


空は青く、昨日の出来事はまるで夢のようであった。






6.エピローグ


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