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□ 5.終わらない夢
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「うおっ! 危ねっ!」


怒りに身を任せ、なりふり構わず襲い掛かってくるビショップにサンジは手を焼いていた。


「この……ちょろちょろと!!」

「だから何なんだよ! なんでお前、俺の首なんか狙ってやがんだ!」

「……」

「もっと高額でアホなヤツがいんだろうが! いっつも肉食って寝てるヤツとか……道に迷ってしょうがねぇヤツとか……!」

「……やかましいーーっ!!」


渾身の攻撃を避けたサンジの足元が、なぜかがらがらと崩れた。


「ぐ……!」


片手で掴まりながら、下を見ると、そこにはまるで剣山の様に無数の刃が突き立てられているのが見える。


「趣味悪ぃ……! ……うっ!」


ビショップはサンジの体を支える片手に足を置いた。


「終わったな……。何か言い残す事はあるか?」


仮面の奥が妖しく笑う。


「あぁ……一つだけ。……くっ」


その時、がらがらと天井が崩れだした。


「……何!?」

「あ〜……やっぱりな。まずかったか、これ……」


サンジのもう一つの手の中に四角い形の石が握られている。


「それは……!!」

「悪ぃ……さっき抜いちまった! ……何かのスイッチだったか? へっ……」















ナミはズクズクと痛む肩から力が抜けていくような気がしていた。

その時、デイジーが身を捩らせた。


「……うぅ……」

「!」

(あれほどの電撃を受けて動けるなんて! なんてタフなの……!?)


ナミはクリマ・タクトを再び握り締めた。

だが、苦しげなデイジーの口からは意外な言葉が出てきた。


「あなた……サンジの事が本当に好きなのね……」

「なっ!? ……やめてよ! あんな最低なヤツ……!!」


それを聞いたデイジーから苦しそうな笑みがこぼれる。


「ふっ……『最低か』……。やっぱりあなたには教えてあげる……」

「え……?」

「あの時……」




サンジはデイジーの唇を貪ると、慣れた手つきで服を脱がせた。

それは脱がされた本人も気付かないほど滑らかなものだった。


「あ……あ……っ」


キスだけで熱くなった体を愛撫され、デイジーはすぐに声を上げた。

快感という名の体の熱が、上から順に火をつけていき、もう何もされずともすぐに達しそうになる。

しかし、その時サンジの口から漏れ出た名前は。





「――……ナミさん……――」






「――……だって」

「え……?」

「あたしはいい身代わりって訳……。ね……最低でしょ……?」

(サンジくん……)

「でも……あなたが……羨ましいわ……」


微笑を最後に一つ見せると、デイジーは気を失ったようだった。

ナミも薄れゆく意識の中で、体を横に倒した。

その時、次第に崩れるドアからサンジが入ってくるのを見たような気がした。

一度目を閉じて、もう一度薄っすらと開けると、サンジがデイジーを抱き起こして、何か必死に言っているのが見えた。

デイジーは力無く微笑んでいた。

ナミは、あぁ、やっぱりサンジくんはこの人の事が好きなのねとか、デイジーも幸せそう、とか考えていたが、その内に意識が完全に飛んでしまった。
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