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□2.サンジ×ナミ
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「よくのこのことその面出せたなぁ……。てめぇは一度ルフィに負けただろうがっ!!」
「……」
アーロンの顔がピクリと動いた。
「ナミさんは俺らの船の大事な航海士だ! とにかくてめぇに手出しはさせねぇっ!!」
少し下を向いたままピタリとも動かなかったアーロンの肩が揺れる。
「ふふ……シャーハッハッハ!!! 麦わらだと!? ではあいつは今どこにいる……? いくらあいつが強かろうとも、”大事な航海士”もいない海の上!! 嵐に見舞われて何ができる!?」
「!」
とても愉快でたまらないというようにアーロンは続ける。
「5人いる船の上で能力者は3人! あいつらは……海に落とせば終わる! そして海に落ちる手伝いは今……俺の同胞達がしてくれている……」
「てめぇ……!」
サンジが歯をぎりっと食い縛る。
「……」
ナミは、ずっと気になっていた疑問をアーロンにぶつけた。
「アーロン……。なぜ船に5人しかいないって知ってるの!? ロビンをさらったのは……あなた達なんでしょ!?」
「……」
アーロンは笑みを少し抑えて、遠くに目を向けた。
「確かにさらったのは俺たちだが……、ヤツとは一時的に手を組んだだけだ。その女がどうなったのかは知らねぇな」
「……ヤツ? ヤツって……」
その時、サンジが再び体制を崩す。
「……っく」
どうやらだいぶ毒がまわっているらしい。
先ほどよりもなお、辛そうな表情だ。
「サンジくん!」
(……くそ! 目がかすんできやがった……。早くしねぇと完全に毒がまわっちまう!)
「ふふ……かなりきつそうだが、大丈夫か?」
サンジはゆらりと立ち上がり、アーロンを睨みつけた。
「……早い話、単細胞のお前らが言いてぇことは…………こういうことだろうっ!!」
サンジはアーロンに激しく蹴りかかった。
「!」
しかし、蹴り放ったはずの足は妙な感触に包まれる。
「!?」
「おいおいおいおい……人間てのはせっかちだな!」
魚人の何本もの足が、サンジの蹴りを完全に防いでいた。
それはサンジの足に巻きつき、そのまま地面に一気に叩きつける。
「ぐ……っ!!」
「サンジくん!」
アーロンの前に立ち塞がった魚人は、
「足技で俺に勝てると思うなよ!」
と得意げに足をうねらせた。
「……」
サンジは痺れる手でタバコに火をつけ、一息ふかすとゆっくり立ち上がった。
「……じっくり料理してやるから待っとけ。このクソイカ野郎……!!」