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□2.サンジ×ナミ
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「アーロン……」


ナミは支えていた腕の力が抜け、その場にサンジをどさりと降ろした。


「久しぶりだな。我らが測量士よ……」


久しぶりに見るその姿は、ココヤシ村を占拠していた頃とまるで変わっていなかった。


「…………」


苦い過去が頭を支配しようとする。

ナミは懸命にそれを振り払ってアーロンを睨みつけた。


「今さら……何の用!?」

「ふふっ……そう尖るな。俺とお前の仲だろう」


その時、もう一人の魚人がまた騒ぎ出す。


「あーっ!! 何で倉庫が破壊されてんだ! お前らの仕業かぁ!?」


足が何本もある。

どうやらイカの魚人のようだ。


「あそこには大事なもんが色々あったんだぞーっ! 俺らの食料とか、お前の武器とか、ウロヤの解毒剤とか……」

「解毒剤!?」

「ちっ!」


アーロンが一睨みすると、イカの魚人は縮み上がった。


(でもあそこには……確かに何もなかった。どういうこと!?)

「……そういえばウロヤの姿が見えねぇ。お前をここに連れてきたはずだが……」

「カマクラゲなら海の向こうよ!!」

「!」


その言葉を聞いた途端、アーロンの表情が険しくなる。


「な、何ぃ〜!? ……確かにウロヤはオカマでクラゲだが……。いや、そこじゃない! 我らが同胞をよくも〜っ!!」


イカの魚人は何本もある足をバタバタさせて怒りをあらわにしていた。


「……まぁ待て。ウロヤは俺の命令を無視して勝手な行動をとった。……人間を甘く見たのさ」

「……」


そして、ナミに振り返る。


「だが……おれはそんな事ないぜぇ。なぁナミ……」

「……!」


鋭い鮫の歯を光らせて笑うアーロンに底知れぬ不気味さを感じ、ナミは再びぞっとした。


「お前の事は大事にしてやる……。大人しく俺とくればな……」

「はっ!? 誰がっ! あんたあたしに何したか忘れたの!?」


ナミはものすごい剣幕でアーロンに食ってかかったが、アーロンは全く動じる様子はない。


「あぁ……色々あったがお互い水に流そうぜ……」

「なっ……!?」


アーロンはナミにゆっくり近づいてくる。

そしてナミに向かって、おいで、とばかりに両手を広げてみせる。


「……来ないで!」


ナミは、先ほどから自分が震えているのに気が付いた。


(怖い……!)


その時、


「おいおい……さっきから聞いてれば勝手な事ばっか言ってんじゃねぇぞ……」


今まで気を失っていたはずのサンジがゆっくりとアーロンの前に立ちはだかった。
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