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□2.サンジ×ナミ
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縛り付けられたナミの体には、苦痛の表情を見せるサンジが覆いかぶさっていた。


「クソ……痛ってぇ」

「ふふふ……あーっはっはっは! 思い出したわ! ”黒足のサンジ”!!」


満足そうな笑みを浮かべたウロヤがゆっくりとこちらに近づいてくる。


「あなた……”死んでも女は蹴らない”んでしょ? 大した騎士道よねぇ……」

「!」

「でも鍵はこの中だけ……。そしてあたしはこの娘を殺すつもりっ!!」


再び激しい痛みがサンジの背中を駆け巡る。


「……っ! ぐわぁーっ!!」

「サンジくんっ!!」

「ふふ……さぁどうする?」

(……まずいわ)

「二人とも仲良く死ぬのよ……。あたしの毒でね……」


ウロヤが再び身構えたが、それを制するようにナミが叫んだ。


「待って! あなたの目的はわかってるわっ!!」

「……」


ウロヤは、身構えたまま、ナミを静かに見つめている。


「あなたの目的は、゛あたしへの復讐゛……」


ナミは瞳を伏せたままだったが、その声は確信に満ちていた。


「゛あなた達゛の関係は知らないけれど……」

「……」


そして、顔をゆっくり上げるとウロヤの腕に視線を移す。


「私への復讐は……そう。アーロンの為!!」

「な……!!」

「その……腕のタトゥーで確信したわ」


ナミはそれだけ言うと、見たくないと言わんばかりにすぐに視線を外した。

ウロヤは構えを解いて、二人にゆっくりと向きなおす。


「……うふふ。さすがね。……あなたは有能だったと聞いているわ。もうじき現れる……あの方に」

「!?」


二人とも信じられないといった表情だ。

ウロヤは相変わらず含んだような笑みを見せている。


「……まさか、アーロンだとっ!? あいつは海軍に……」

「そう。世間では海軍に捕まったとされているわ」

「……」

「しかし……我ら人魚族にとって軍艦一隻沈めるなど造作もないこと。……今日のあなた達のようにね。ふふふ……」

(あの変な嵐もこいつらの仕業なの……!?)

「ナミさん……」


ふと目線を上げると、心配そうなサンジの瞳が映る。

ナミは小さく息をついた。


「……で? アーロンが? 私を殺せって言ってんの?」

「うふふ……。いいえ。あの方はほとぼりが冷めるのを待って、また海賊としてやっていくつもりよ。……あなたを仲間に迎えてね」

「!?」


急にウロヤの顔つきが厳しいものに変わる。


「だ・け・ど・あたしは許さない! 人間が仲間になるなんてっ!! ましてやあの方を追い込んだ張本人……」

ウロヤの触手がワナワナと震えている。


「ナミっ!! あなただけはねっ!!!」


ウロヤの触手についている、毒を含んだ刺胞がすべてこちらを向いている。


(やばい……!!)


その時、ナミの目前でサンジの髪の毛がさらりと舞った。
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